ようやく昌浩ともっくんの口げんかも終了し、とっしー(いつの間にか俺の中でデフォルト)をどうするかと言う話しになり、山の麓まではもっくんが騰蛇になって担いでいくことになった。・・・とっしー・・・なんか苦しそうな気がするのは気のせいだろうか。
俺はすーちゃんを腕の中に抱き、騰蛇に俵のように担がれているとっしーを見て苦笑した。
「さて。このあとはどーするよ。」
山を下り、この後は車之輔が迎えに来てくれるらしい。とっしーを地べたに下ろすと、騰蛇は速攻でもっくんに早代わり。・・・そんなに嫌だったんですか・・・。そんなもっくんを昌浩は襟巻きにしている。あ、暖かそう。
「・・・お前な。」
「だってさー、あったかいんだってば。」
「確かにもっくんって暖かそうだよね。もこもこしてて。」
「でしょー?」
くすくすと笑えって同意してみれば、昌浩もねー?と返してくる。そうしてるうちに今度は彰子が騰蛇を『紅蓮』と呼んでもいいのかどうかという話題に。名前は大事だからねー。
「そういえば、も紅蓮のこと、『騰蛇』って呼んでるよね。はダメなの?」
「うえ?俺?」
いきなり話の方向が俺に向いてくるもんだからビックリして自分で自分を指差してしまった。
「一緒に妖と戦ったりする仲間なんだから、いいと思うんだよね。俺としては。」
昌浩が持論を展開する中、俺ともっくんは顔を見合わせて苦笑する。
「だからさ。にも紅蓮のこと『紅蓮』って呼ばせてあげてよ。ね、もっくん。」
「もっくん言うな。・・・・・・お前は・・・俺のこと・・・怖くないのか?」
「何で?別にー。騰蛇は騰蛇だし?騰蛇は優しいよ?」
にこにこにこ
笑顔でそう言えば、もっくんは驚いたように目を見開き、昌浩はなんだか満足そうに頷いている。
「騰蛇のどこが怖いんだかねー。むしろからかいやすくて面白いし?」
「はぁ?」
「あ、それ分かる気がする。」
「分かるな!」
「あははははは!」
大爆笑してやればばつの悪そうな表情をするもっくんと満足そうな昌浩。
「・・・別にいいぞ。」
「ほえ?」
「お前も、『紅蓮』って、呼ばせてやる。」
ぷいっとそっぽを向いてしまったもっくんにありがとう、と呟いてほっぺちゅーをしてあげれば顔を真っ赤にして酸欠の魚みたいに口をパクパクさせている。その姿が、なんだか微笑ましかった。
ほのぼのと。平安時代にちゅーの習慣とかあるわけが無いから目撃した昌浩もちょっとフリーズしてるんだと思われ(笑)。
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