天使の子守唄 禍つ鎖を解き放てact23

しばらく笑い合っていると、突然昌浩が立ち上がる。瞬間俺も何か妙なものを感じて表情を引き締める。
「・・・・・・なんだ?」
すると、不意に世界が揺れた。
「地震・・・?」
「・・・ただの地震じゃ・・・ない!」
次の瞬間、揺れは一層大きくなり、地鳴りがする。昌浩は立っていられなくなり、しりもちをついてしまった。
「大丈夫?」
「うん。・・・もっくん?」
東山の頂上を睨みつけていたもっくんに、不思議そうに声をかけるれば、真剣な声が返ってくる。
「―――将軍塚が鳴動した。」
将軍塚の鳴動。それがどういうことを意味するのか、俺は知らない。知らないけど、もっくんと、それを聞いた昌浩の表情から、ただならぬ事態であることだけは、分かった。
「将軍塚に行ったほ・・・」
――――子どもよ。
なーんか嫌な予感がして恐る恐る振り返ってみれば・・・
「げ。でっかい百足・・・。」
そこに居たのは巨大百足。
「・・・あんまり見たくなかった・・・。」
虫は苦手です。ハイ。
でも、この百足はただの百足じゃない。雰囲気でそう思った。
「・・・恐るべき闇って、何なんだ・・・?」
震えそうな声で昌浩が言葉を紡ぐ。
・・・・・・胎動が、強まった。
「え・・・?」
時は少ない。阻まねばならぬ。
「すいませーん、話が見えませーん。」
ギロリ
「ギャ!」
にーらーまーれーたー(泣)。
日の沈む地。闇より深い根の国。目覚めさせてはならぬのだ――――。
百足の声が直接頭に響く。
「っ!」
思わず目をつぶり、声の余韻が完全になくなり、目を開くとそこには既に百足の姿は無かった。
「・・・あの、百足。」
「ん?」
「もっとわかりやすく話せ!」
「そこかよ!」
一気にさっきの緊張感なんかどこ吹く風。そんな中でも昌浩は何かを考えるように難しい顔をしている。
しばらくすると向こうからがらがらという輪の音が聞こえてくる。車之輔だ。
「んで、とっしーはどこへお運びしますー?」
「吉昌が残ってるだろうし、陰陽寮でいいんじゃねぇの?」
少々考え、賛成多数により、とっしーの搬送先は陰陽寮ということに決定。
またもやぶつぶつ文句を言いながらも本性に戻ったもっくん基紅蓮がとっしーを担ぎ上げ、放り投げるように車之輔に乗せた際、ゴンという素晴らしい音がした。・・・合掌。
とっしーの扱いが酷い(爆)。
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