天使の子守唄 六花に抱かれて眠れact5
「おつかれー。」
しばらくして俺が昌浩の部屋へ顔を出すと、昌浩は露樹様が握ってくれたおにぎりにかぶりついているところだった。吉昌様のお説教で朝餉を食べ損ねたらしい。ご愁傷様。
「・・・ー・・・もいたんでしょ・・・なんで助けてくれなかったんだよー・・・。」
「だって面白いんだもん。」
ガクっといい感じな効果音を出しそうな勢いで肩を落とす昌浩の姿に笑がこみ上げる。
「ところで昌浩君、君は何に対して一番衝撃を受けた?」
笑いが止まらないまま聞けば、もっくんが選択肢を出す。
「いち、高淤の神が来訪したのに気付かなかった。に、完全憑依されていたこちに気付かなかった。さん、彰子も気付いたのに自分は気付かなかった。し、彰子が隣で眠っていた。」
「俺的には一番最後のだと思いますが、ご本人はどーですかー?」
ニュースのリポーター風に聞いてみれば、昌浩はじとーと目を半眼にして文台に突っ伏した。
「・・・全部です。鈍くてすいませんねぇ。」
「そこが昌浩のいいところだよんv」
「褒められてる気がしない・・・。」
がくーっとさらに文台とお友達になる昌浩の姿に平和だなーとか思ったりする。
「あれ、そういえば昌浩。」
「何?」
「お前、今日はうなされなかったな。夢は見なかったのか?」
「昌浩、うなされてたの?」
もっくんの突発情報にちょっと驚く。当の昌浩とえば、そいえば・・・なんて首を傾げてる。気付かなかったんかい。・・・そういえば、昌浩、あの怨霊退治からこっちちょっと顔色悪かったなぁ・・・。いくらなんでもアレは異常だ。最近は大きな事件も起っていないから、夜警もお休みしてたのに。・・・もしかして今回の物忌みも清明様なりに昌浩のこと心配してなのかな・・・。昌浩、作暦苦手だから、言われたら速攻で信じそうだし(苦笑)。
そんな事を考えていると、昌浩自身は考えるのをやめたらしく、文台の近くに積み上げてあった本を取り出し、勉強を始めたので俺は邪魔にならないようにと部屋を後にした。