天使の子守唄 六花に抱かれて眠れact7

「・・・四十点だな。まず気付くのが遅い。術の発動にも時間がかかりすぎ。清明だったらそれこそ瞬きひとつであっという間に掻き消える。」
少し離れた場所からとっしーの様子を伺っていた俺たちは、とっしーが隠形の術で身を隠したのを確認すると、もっくんの一言に苦笑を洩らした。
「じい様と比べたら、誰だって今ひとつだよ。」
「そうそう。あの人と比べたらみんな月とすっぽんだって。」
比べられたらこっちがたまんないよ。と苦笑すれば、そういうもんか?と首を傾げられてしまった。・・・感覚が違いすぎますよ・・・。
そうこうしているうちに嫌な気配が直そこまで近づいてきている。
「来たぞ。」
「―――夜行?」
「・・・なにあれ。超キモイんですけど。」
うねうねと巨大ナメクジのようなスライムのようなアメーバのような謎の物体がずるずると這ってく。こっちに来る・・・!と思ったら素通りされた。不思議に思ってみていると巨大ナメクジ(俺の中で決定)は少しはなれたところをふらふらとしている影のようなものに向っている。
「・・・あの”影”を、狙ってるのか?」
「そのようだな。だが・・・あの”影”、食ってもそれほどうまくないと思うんだがなぁ。」
「・・・おいしいとかまずいとかそういう問題?」
もっくんの緊張感のない答にちょっと脱力。そして影と巨大ナメクジの去っていったほうを眺める。
「さっきの”影”は、霊と言うよりも、魂に近い。」
霊と魂とはどう違うのだと訊ねれば、すーちゃんが後で教えてやると言ってくれた。今日は帰ったら『霊と魂について』の講義だ(笑)。
「夜行に狙われてるから逃げ回ってるのかな・・・?」
「さぁな。ところで昌浩や。まずいぞ。」
「え、なに?」
「敏次の奴、へたりこんでやがる。どうするよ。」
「・・・ほっとけば?」
自分も意外と薄情だなと、この時しみじみ思った。
とっしー好きですよ?ええ。扱いがちょっと酷いだけで(愛です)。
アニメで見たときあのアメーバは普通にキモイと思いました(苦笑)。
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