んで。
「い つ ま で 寝 て や が る ・・・ 起 き や が れ ・・・ !」
ガバ!
地を這うようなドスの効いたお声で目を覚ませば既に外は真っ暗☆
「・・・夜?(汗)。」
「おう。そうだ。すっかりばっちり夜だ。いつまで寝てやがる(怒)。」
ひぃぃぃぃぃ!
恐ろしくて振り向けません・・・!でもちゃんと見なかったら後がまた怖いだろうなぁ・・・とか思いながら振り向くと・・・
「・・・猫?」
そこに居たのは眉間に皺を寄せたスサノオ様ではなく綺麗な黒い毛並みに真っ黒の瞳の一匹の猫。
「しゃーねーんだよ。本性だと神気強すぎるんだからな。」
「ス・・・スサノオ様ー?!」
「・・・おう。」
わぁちょっとびっくり。・・・そういえば十二神将の紅蓮基騰蛇も物の怪姿だったもんなぁ・・・確か。なるほど。
「その姿だと『スサノオ様』って呼ぶのに違和感があるんですがー・・・。」
「じゃぁなんだ。」
「すーちゃん。」
「すーちゃん言うな。」
スサノオ様はしっかりばっちり突っ込み体質みたいです。まぁ・・・あのお姉さんじゃね(苦笑)。
「いいじゃないですか、すーちゃん。その姿の時だけですって。本性に戻ったらちゃんと『スサノオ様』って呼びますから。」
「・・・その呼ばれ方も微妙だな。」
「?」
スサノオ様は『スサノオ様』と呼ばれるのが嫌いなのだろうか?
頭の上にはてなを浮かべて考えていると
「名を。」
「はへ?」
「俺に名を与えることを許す。そしてお前には、その名を呼ぶ権利を与える。」
「はへえぇえええええええ!?」
「煩い。」
名前・・・名前って大切なものだって・・・呪とかその他もろもろに使われる一番大事なものなんじゃなかったですか?!それを昨日この世界にぶっ飛ばされたばかりの小娘が!?いいんですかね?!
「お前のことは一ヶ月前から観察していたんだ。姉上がこの世界に送り込むことを決めてからな。俺はその一ヶ月でお前を気に入った。だから名を与えることを許し、その名で呼ぶことを許すんだ。」
「ストーカー・・・。」
「煩い。」
キシャー!と毛を逆立てて反発されても、姿は黒猫なのであまり怖くない。むしろ微笑ましい(笑)。
「・・・んー・・・じゃー・・・じゃー・・・『黒曜』。」
キィン
耳鳴りのような高い音と共にすーちゃんの右耳に金色のカフスが現われる。
「これで、『契約』は完了した。」
黒猫姿で満足げに頷く。
「さて。それじゃ、安倍昌浩に会いに行くか。」
「はーい。」
この時間だと、多分ちょうど夜警に出ている時間だろう。雑鬼たちに潰される姿が見られるかもしれない。
ちょっと不謹慎ながらもわくわくしながら立ち上がると、あばら家を後にした。