天使の子守唄 六花に抱かれて眠れact11
あの場から退散するととりあえず俺たちは無人のあばら家へと非難。さすがにあのまま邸に戻ったらいろいろと問題がありそうあったし。
「あ、目が覚めた?大丈夫?」
昌浩が気が付いたので、声をかけてみれば大丈夫と返ってきて、よいしょという掛け声と共に身体を起す。
「さすがに正体なくしたお前をそのまま連れ帰る度胸は、俺たちにはなかった。」
「え、なんでさ。・・・あ、六合、長布ありがとう。」
「そりゃね。まず、彰子がビックリしてひっくり返るでしょ?吉昌様も露樹様も大騒ぎ。んでもって最後に一番恐ろしいと思われるのが清明様だね。」
笑顔で、無言の圧力がかけられる。絶対に。さすがにそれは恐ろしい。別に清明様に仕えてるわけじゃないから俺は関係ないが、昌浩を守るといった手前、被害は免れないだろう。うん。
説明してる間も、昌浩は自分の身体を確認。
「あ、怪我とかは大丈夫だと思うよ。ここに付いた時確認したし。どっか怪我してるとこあったら治すけど。」
「うんん。大丈夫。あ、俺どれくらい寝てた?」
立ち上がってもっくんを見下ろす。昌浩が完全に大丈夫そうなのを確認するともっくんと六合が大きく息を吐いた。そんなに清明様が怖いか(苦笑)。
「・・・寝てたって言うかー・・・」
「一刻半といったところか。少し、脳震盪を起していたらしい。できるだけ動かさないようにと思って、ここで様子を見てたんだ。」
・・・半分だけ本当。半分は清明様が怖いから(苦笑)。苦笑しながら昌浩に向き直ると空を見上げていた昌浩の様子がおかしい。
「だ、大丈夫?昌浩。」
「・・・う、ん。ごめん、なんか・・・大丈夫・・・じゃないかも。ちょっと、帰って寝たほうがよさそう。」
元気なく答える昌浩に相変わらずもっくんの嫌味なんだかよく分からない活が飛ぶ。
「・・・大丈夫そうだね(苦笑)。」
昌浩はもっくんを抱き上げ、俺はすーちゃんを腕の中に入れ、邸へ歩き出す。六合は隠形して後から付いてきている。
「何刻くらいかな?」
冬の真っ暗な空を見上げて立ち止まった昌浩の上に
「わーっ、孫だーっ!」
「姫もいるぞー!!」
「わ―――っっ!」
雑鬼たちが降ってきた。・・・いつも思うけど、どっから降ってきたんだろう・・・とか思って現実逃避気味に空を見上げてしまった。
「ううっ、哀れな。恒例行事とはいえ、帰りがけに来るとは・・・」
「・・・もっくん、また君逃げたね。」
「あたり前だ。」
そう言って猫みたいに耳の後ろをかいている物の怪のもっくんを見てると、これがあの凶将騰蛇こと紅蓮なんだよなぁ・・・としみじみ思ってしまうからなんか複雑。
「物忌みだって言うから控えてたんだけどさ!」
「出歩いてるってきいてなー。」
「急いできたってわけだ。」
「いやはや間に合ってよかったぜ。」
「なっ、
孫っ!
」
ご丁寧に最後の「孫」だけ練習したようにハモリ、大合唱の雑鬼たちに苦笑するしかなかった。
一人称だと本当、名前変換少ないよね!(開き直り)。
back