邸に帰るまでみんな、無言だった。特に、昌浩と、もっくんは。六合も、いつも以上に口を噤む。多分、コレに俺は口を出してはいけない。でも、打ち明けてもらえない寂しさが、心に重く、のしかかっていた。
邸に着くと、もっくんは待ち構えていた清明様と話があるとかで先に中に入っていった。
「・・・・・・六合、紅蓮の過去って・・・罪って、・・・なに?風音に会った。俺のこと知ってた。・・・紅蓮のことも、知ってるみたいだった。」
不安そうに六合を見上げる昌浩に、六合はただただ無言。これは、俺が口を出していいことではない。それでも、俺も昌浩同様、知りたいと思うのは罪だろうか。
「―――騰蛇本人から、聞くべきことだ。俺が語るべきことではないし、騰蛇もそれを望みはしない。」
「・・・・・・うん、わかった。」
「騰蛇が告げる、それが真実。俺がいえるのはそれだけだ。」
六合はそれだけ言って隠形し、昌浩も少しだけスッキリした表情で、邸の中へと戻った。だが、部屋に戻った途端、緊張の糸がぷっつり切れたようで、思いっきりぶっ倒れ、彰子に心配された。
「あ、目ー覚めたー?」
茵に寝かせた昌浩が目を覚ました。俺の隣には心配そうな彰子。反対側にはなんだかご機嫌斜めなもっくん(笑)。
「どうにかしてやりたかったけど、強硬手段しかないかな・・・。」
「全部高淤の神の仕組んだことだっ、あいつに責任取らせろっ!」
「え?」
「は?」
いきなり何を言い出すこの物の怪は。
曰く、あの”魂”があの辺りをうろついていたのは高淤の神の差し向けたことで、昌浩は厄介ごとを押し付けられたとのこと。
それに対してご立腹のご様子な物の怪のもっくん。清明様に無理矢理除霊してしまえだの、高淤の神が今度来たら塩まいてやるだのなにやら不吉なことを申し上げております(苦笑)。
「・・・神に塩まいてどーるすよ・・・。」
「祟られるの俺なんですけど・・・。」
という、そんな呟きももっくんの耳には入っているのか入っていないのか。
「・・・昌浩、、もっくんどうしたの?」
「んー・・・なんか虫の居所が悪いというかなと言うか・・・。」
「まぁ、そんなとこ。とにかく、防人を浄化させるにしても、高淤の神の助力をえたほうがよさそうだ。そろそろ俺もしんどいし。」
「大丈夫?」
「うん。まだ大丈夫。」
「まだって(苦笑)。」
そう言いながらも既に出かける準備を整えている昌浩にしょうがないなーと苦笑すると、先に行ってるぞと声をかけて部屋を出た。
今は、紅蓮と昌浩を信じよう。時が来たら、ちゃんと話してくれる。そう、信じてる。
神様に塩まいたら余計にぱわーあっぷしそうな気がするのは気のせいかな?(笑)。
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