天使の子守唄 六花に抱かれて眠れact15

俺たちは車之輔で貴船の麓まで送ってもらった。因みに昌浩ともっくんは中。俺とすーちゃんは屋根の上。昌浩が中に入ればと言ってくれたのだが、如何せん、狭い。それにこの体になってから(されてから)暑さや寒さも感じなくなったから別に屋根の上でもOKだ。便利だね。うん。
そんなこんなで現在貴船の山を雪山登山中。俺はすーちゃんを抱え、もっくんはさすが物の怪。雪の上をひょいひょいと進んでいる。一人苦労しているのは昌浩一人(苦笑)。俺はめんどくさいので翼を出して少し浮いてます。昌浩に「抱っこしてあげようかー?」と言ったら顔を真っ赤にして全力で拒否られてしまいました。ざんねーん(苦笑)。

「!」
「昌浩?!」
急に昌浩が胸を抑えて立ち止まった。
「・・・げ。巨大ナメクジ再び?!」
向こうから現われたのはこないだ退治したのと同タイプだと思われる化け物。・・・これだったら百足の方が100倍ましだ。キモイ。そんな事を考えてる間にも昌浩は攻撃態勢に入る。俺も昇霊銃を具現化。昌浩が呪符を投げつける。だが、効かない。一瞬にして間合いをつめられる。次の瞬間に炎の蛇が化け物に襲いかかっていた。それでも全て消し去るには足りない。
「昌浩、紅蓮、大丈夫?!」
「うん、は?」
「俺は平気!」
その間も化け物は触手をいたるところから伸ばしてくる。昌浩をかばいながら紅蓮と俺で牽制する。昇霊銃じゃ効かない・・・!俺は今度は斬魄刀を具現化させる。紅蓮も同じことを思ったのか槍を顕現させている。伸ばされる触手に対抗すべく斬魄刀を振るうが、図体がでかい割にはかなり身が軽い。あっさりとよけられてしまった。さらには、
「ひぃぃぃぃい!」
?!」
キ・・・キモチワルイ・・・!触手に捕らわれてしまい、身動きが取れない。隣を見れば紅蓮も同じようにつかまっていた。ちくしょー!
「な・・・っ!」
はっと気がつき、昌浩のほうを見れば昌浩も触手に捕らわれている。
「すーちゃん!どーにかして!!」
「・・・しょうがないな・・・。」
言うが早いか、すーちゃんは本性に戻る。そして手の平には水龍。それが俺を捕えている触手に襲い掛かり、引きちぎる。地面に着地すると同時に紅蓮も炎が己を捕えていた触手を焼き払う。が、その間に昌浩は化け物に食われてしまった。
「こんの・・・!昌浩返しやがれ・・・!紅い稲「神将、天照の姫、それ以上、わが住処を荒らすなよ。」
頭の上から声がした。振り返ればそこに居たのは
「高淤の神・・・。」
「ふざけるなよ、高淤の神・・・!望とあらば、この山全てを一瞬で焦土と化してくれるぞ・・・。」
完全にご立腹な紅蓮を目にして逆に俺は冷静になれたよ。ありがとう。
「それは困る。仮にもこの高淤に対する礼儀を知れよ、十二神将。なぁ、スサノオ。」
「お前が言うか、高淤。自業自得だと思うがな。」
ふふんと黒耀に話を振れば、あっけないお答えが。・・・神様ってドライだわー・・・。
「それに、あれはそれほど脆弱か?それならそれで、ここで命尽きるだけのことだろうよ。」
「貴様・・・っ!」
「そして、それだけの器なら、百足の見込み違いだったということさ。ここで落命したほうが、あるいは幸せだろうて。」
「なに・・・っ!」
「・・・昌浩はそんなに弱くありません。っていうか百足のことご存知なんですね。」
「あぁ、知っているよ。」
くすくすと新しいおもちゃを見つけたように笑う高淤の神様に、ちょっと頭痛がしました。
神様同士の静かなにらみ合い(苦笑)。
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