天使の子守唄 焔の刀を研ぎ澄ませact6
ナメクジの這った後をたどって行くと洞穴が合った。その中から瘴気がずっと噴出している。
空が紅く染まり始めている。太陽が沈んだら、お終いだ・・・!
「急がないと・・・!」
それは昌浩も同じことを思ったらしく、焦ったように呟く。そのとき、後から気配を感じて振り返れば、
「・・・げ。巨大百足・・・。」
「百足!?」
俺の呟きと共に太陰の悲鳴のような声が上がる。そんな俺たちの驚きなんて関係ないと言わんばかりに洞穴の中に突撃。・・・俺たち無視かよ!!
「・・・わぁ・・・完全に無視されたよー・・・。」
「なんだ?」
「巫女の気配を感じたのだろう。」
唖然として百足をスルーしてしまった俺たちの耳に、聞きなれた声が聞こえた。
「じい様!」
「清明様!」
振り返ればそこには離魂で魂を飛ばしてきた清明様と白虎と青龍。・・・いつもながら青龍は眉間の皺が耐えませんな・・・。
「・・・・・・六合は、どうした?」
一人足りないのに気付いた清明様が怪訝な顔をする。
「六合は別行動です。風音が襲われました。」
俺が答えると、清明様の表情が固いものになる。そして、太陰は風読みで聞いたであろう宗主と風音の会話を説明する。そこまで言って、太陰は俯いて黙り込む。いつもの太陰じゃない。
「・・・太陰、どうしたの?」
宗主と風音の会話の中に、何かあったのだろうか。声をかけると、太陰は言いにくそうに口を開く。
「・・・清明、騰蛇が・・・。」
「騰蛇がどうした?」
「騰蛇が、騰蛇がャ斎を手にかけたっていうのは・・・、本当、なの?」
全員が、驚愕に打ちひしがれる。・・・いや、青龍だけはものっそい気分を害した感じで眉間の皺三割増し(当社比)。みんながそんな感じなのに、清明様はちょっと困ったようにため息をつくだけ。
「だんだ、知ってしまったのか。」
「清明!」
「それは、真実なのか?」
「おい、清明、それは・・・」
みんなそれぞれ信じられないというように困惑したような声を上げる。当の清明様は後から掴んでいる白虎の手を叩きながら苦笑する。
「済んだことだというのは、だめか?この五十余年の歳月の中で、あれはその咎に苛まれつづけた。」
昌浩の顔が歪む。貴船で、紅蓮が語った時。凄く、辛そうだった。心に、治らない傷を、負っていた。
「自分自身が己を断罪する。―――それでは、贖いにはならないか・・・?」
みんなが黙る。清明様は、全てを許している。紅蓮が犯した罪を。
「すぐに答えをださなくてもいい。ただ、覚えておいてくれ。たとえ何があっても、私は紅蓮を朋友だと思う。無論、お前たちもだ。」
そう言って清明様は洞穴の奥を見据え、目を細める。それに昌浩は、拳を握り締めた。
どうやったらギャグにできるかしか考えてない←
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