じーっ。
「・・・。」
大石は困っていた。
「・・・えーっと・・・。」
「たまご。」
Σ(゜□゜)!!
大石はなんだかわけのわからないショックに、固まった。
おにいちゃんといっしょ
「大石遅いニャー。」
そのころ青学のテニスコートにはなぜかレギュラー陣が集合していた。
1月1日。冬休み真っ最中どころか新年になったばかり。
全員が初詣に行き、全員で神社で顔を合わせ、なぜか全員でテニスをすることになって今に至ったりする。
そして、なぜか大石だけが遅れている。
「どうしたんすかね。大石先輩。」
「迷子の子どもを助けている確立86%。」
「あー・・・大石だったらありえるかも(苦笑)。」
桃城がぼやけば乾が応え、それに河村が苦笑しつつも納得する。
「どうしようか?」
不二が困ったように首をかしげたそのとき。
「おにーちゃん!!」
がば!
「!」
何かが手塚の足に張り付いた。
その向こうからはなんだか魂の抜けたような大石が歩いてくる。
「・・・大石・・・魂抜けてるよ・・・?」
「・・・ス。」
不二とリョーマが何事かというように大石を見つつ、手塚に貼り付いたモノを振り返る。
それは・・・
「・・・・・・なんでここにいるんだ?」
小さな女の子だった。
「・・・手塚。妹いたの?」
不二さんちょっとご開眼。
「・・・違う。従妹だ。」
不二のただならぬ雰囲気に手塚は即答しながら、と呼んだ少女を抱き上げる。
「従妹か。なんだ。」
「納得したんならその黒いモノをしまえ。」
「黒いものって何?」
にっこり。
相変わらず新年早々恐ろしいです。
「で、。なんでここにいる?」
「んーとね、おかーさんがおにーちゃんはここにいるから、ひまならあそびにいってらっしゃいって。」
「無責任な・・・。」
眉間の皺三割り増しです。
「まー、いいじゃないか。ちゃんだっけ。俺たちこれからテニスするんだけど、見てる?」
「うん!!」
河村が笑いかければ嬉しそうにも頷く。
「ほら、大丈夫そうじゃないか。ちゃんのことは試合してないメンバーが交代で見てればいいだろうから。」
「・・・そうだな・・・。、いいこにしていられるか?」
「うん。いいこにしてる!」
にこにこと笑うに手塚の眉間の皺が多少緩んだ。
(あ・・・機嫌いい・・・。)と全員がちょっと思った。
それからかわるがわる試合をし、試合をしていないメンバーはの相手をしていた。
魂の抜けかけていた大石は菊丸によってなんとかこちらに引き戻された。
のほうはテニスの試合を楽しそうに見つつ、かわるがわるやってくるメンバーたちになんだかよくわからない呼び名を数名につけていたり。
大石はたまご。菊丸はねこ。不二はまほうつかい(なんか雰囲気で感じたらしい)。河村はばかじから(苦笑)。乾はぎゃっこうめがね(どこで憶えたと手塚に突っ込まれた)。桃城はどーん(そのまんま)。海堂はへび(やっぱり)。リョーマはまだまだだね(えー?)。といった感じで。
一通り打ち合いも終わり、日も傾いてきた頃。
はベンチで眠そうな眼をこすっていた。
「。そろそろ帰るか?」
「・・・うん・・・。」
手塚がの顔を覗き込みながら聞くとはこくんと一つ頷く。
「・・・というわけだ。そろそろ解散するぞ。」
手塚の声に全員がラケットなど使用したものを片付ける。
「悪いが俺は先に帰る。」
先に片づけを済ませた手塚はを背中におぶるとメンバーたちに声をかける。
「あぁ、じゃぁ、また新学期。」
大石が声をかけ、手塚は校門のほうへ歩いていく。
その背中では眠気には勝てなかったのか幸せそうに寝息を立てていた。