幸福の欠片〜act5〜
「ひとりに対して大勢で暴行とは。情けないですね。」
後ろから僕が声をかけると暴行をしていた女子たちは驚いて一斉にこちらを振り返りました。
「な…なによ!あんたには関係ないでしょ!」
リーダーだと思われる女子が慌てたように叫びます。
…リーダーの風格が全くと言っていいほど有りませんね。XANXAS様の足元にも及びません。…あぁ、XANXAS様と比べるのはあの方に失礼ですね。
そんなことを考えながら目の前の女子を観察します。
…一人に対して五人ですか。嫌ですね、群でないと行動できない人間って。
「ちょっと!あんた!人の話聞いてんの!?」
女子の一人が半ば切れかけたような声で叫びます。あーうるさいです。
「あぁ、すみません。聞いていませんでした。」
「な!?」
「僕は」
反論しようと口を開きかけた女子の言葉をさえぎって僕は言います。
「そもそも群でないと行動できない人間というのは見ていて虫酸が走るんです。さっさといなくなってくれませんか?」
そう言ってちょっと殺気を出してあげればさっと顔を青くする五人の女子たち。
「お…覚えてなさいよ!」
なんかどっかの安っぽいヤクザ映画に出てきそうな台詞を残して女子たちは逃げて行きました。
…もう少し日本語のボキャブラリー増やした方がいいですよー?仮にも日本人なんですから。
そんないらぬ心配をしながら僕は暴行を受けて壁にもたれ掛かっている女の子に近づきました。
…何でしょう…この懐かしい感じは。
「大丈夫ですか?」
声をかけると女の子は虚ろな目をしながら顔を上げました。その瞬間、懐かしい感じがした理由が分かりました。
主人公は雲雀さんみたいな性格です。・・・雲雀さんほど凶暴ではないですが(苦笑)。
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