幸福の欠片〜act12〜
放課後。僕たちは電車に乗り、XANXAS様を倒したという沢田綱吉が暮らす並盛りへと向かいました。
というか…は本当に部活をさぼって…いや休んできました。
(なんて理由で休んだんだと聞いたら「ないしょーv」とはぐらかされてしまいました)。
そんなこんなで並盛りに付き、沢田綱吉が通っている並盛中へと向かいます。
「ねぇねぇ!どんなこかなぁvv」
明らかに楽しんでいる様子のに少々苦笑します。
「さぁ。でも普段はダメツナって呼ばれてるくらいぱっとしない普通の男の子らしいよ。」
ふーんとちょっと納得していないような顔をしています。
「まぁ、会ってみればわかるよ。」
そう言っているうちに並盛中につきました。ごく普通の中学です。
「小さいね。」
「いや普通だと思うよ?」
青学と比べてはいけないでしょう。
そんな会話をしながら校門の前で沢田綱吉を待ちます。すると向こうから物凄く凸凹なトリオが歩いてきます。右隣の銀髪が真ん中の薄い茶髪に「10代目!」と言い、左隣の黒髪が「ツナ。」と呼びかけているところを見ると、あの真ん中の茶髪がXANXAS様を倒した沢田綱吉なのでしょう。…確かにXANXAS様を倒したというほど強そうには見えないですね。
でも人は見かけによりませんからね。一応はXANXAS様のご命令です。接触を試みます。
「。はちょっとここにいて。」
「あ…うん。」
僕はをその場に残し、沢田綱吉に近寄ります。楽しそうに談笑していた向こうも明らかにこの学校のものではない制服を着た女が近づいてくるのに気づいたらしいです。あからさまな警戒の眼差しを向けてきます。
「沢田…綱吉様ですね。」
「なんだてめぇ!」
「ご…獄寺君。」
銀髪がいきなり喧嘩腰になるのを(おそらく)沢田綱吉が宥めます。…やっぱりあまり強そうには見えないです…。
「その制服、青春学園だよな。あのテニスで有名な。」
「青春学園?」
「恥ずかしい名前だな。」
「…言わないでください。」
ぶっちゃけ僕もそう思うんですから。
「で、その有名校の女の子がツナに何のようだ?」
明らかに面白がっている様子で黒髪が聞いてきます。
「自己紹介が遅れて申し訳有りません。僕はボンゴレ直属ヴァリアー暗殺部隊所属と申します。ボンゴレ10代目が日本にいらっしゃると言うことでご挨拶に伺わせていただきました。」
ボンゴレ10代目(正しくは候補だけど)沢田綱吉の前で膝を折り、頭を下げます。
「え!そ、そんな!俺は別にそんな!」
「いえ。次期我等の指導者となるお方。然るべき態度で接しなくてはなりませんから。」
慌てる沢田綱吉に僕は頭を下げたまま淡々と告げます。そうしてるあいだにも僕は沢田綱吉という人間を観察することを怠りません。仮にもXANXAS様を倒した人間です。どこにそんな力を秘めているのか。
だが目の前の沢田綱吉という人間はこれといってまったくそんな力を秘めている様子がこれっぽっちも無い、ただただ優しい。そんな空気が漂っています。
「お前…ヴァリアーなのに物凄い礼儀正しいな。」
「失礼ですね。ヴァリアーの全員が全員ああいうのばかりではないですから。」
ベルなんか例外です。
銀髪に言われてちょっとむっとして応えると、黒髪が笑い出します。
「お前面白いな。」
「誉め言葉として取らせていただきます。」
「まぁまたツナに危害くわえるんじゃなきゃ別にいいんじゃね?俺は山本武。でそっちが、」
「獄寺隼人。」
黒髪が山本君で銀髪が獄寺君。
「ということは、雨の守護者と嵐の守護者ですね。」
「まぁそういうこったな。」
山本君が律儀に応じてくれます。
「ところでさ、」
主人公ちゃんは上司となる人にはめっちゃ忠実です。
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