幸福の欠片〜act10〜

学校につき、げた箱を開けるとー案の定、僕の予想は当たってしまっていたらしいです。昨日、履き始めたばかりのまだ真新しい上履きがいろんな色の絵の具でカラフルなものになっていました。
…とりあえず写メ撮ってベルにでも送っときますか。あのこだったら面白がってくれそうですし。
カシャ
僕がげた箱を開けたまましばらく固まり、更に写メまで撮っているのを不思議に思ったらしいが僕のところに駆け寄ってきてげた箱をのぞき込みました。
「…わぁ…。」
凄いねー…。
そう言っては自分の鞄の中から上履きをとりだし靴からはきかえると、履いてきた靴は鞄にしまいます。
…。」
「?」
平然とした感じでそんな行動をするに、このこも成長したなぁとか、思わず子供の成長を逞しく思う親のようなことを考えてしまってちょっと苦笑。
「職員室行こ。スリッパ貸してくれるから。」
「あぁ。」
ニコニコと微笑みながら廊下を駆けていくの背中を見送りながらもう一度げた箱の中に視線を戻す。すると上履きの下に何か紙が置かれているのを発見。それを引き抜いて広げてみるとそこには
―敵の仲間は敵―
そう記されていました。ご丁寧に脅迫状の定番のように新聞や雑誌の文字の切り抜きを使って。
「(…そういうことですか…。)」
敵を助けた。だからお前も敵だ。そういうことなのでしょう。
…愚かしい…。
そう思いながら僕はの後を追い、職員室へと向かいました。
典型的なイジメのスタートです。
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