幸福の欠片〜act18〜
放課後、僕はに連れられてテニス部のコートへとやってきました。コートの周りには黄色い声を上げる女子。…煩いです。
「じゃ行ってくるねー。」
「頑張れ。」
「うん!」
勢いよく駈けていくの後ろ姿を眺めながら一つため息を付くきます。…だって向こうから物凄い勢いで睨んでくる人がいるんですもの。しかも二人。一人は言わずもがなあの桃城君。もう一人は…知らないけど多分あれがが言ってた菊丸先輩…でしょうか。
がコートの中に入り、部活が始まるとその視線は一旦、おさまりました。
でも休憩時間みたいに暇になるとやっぱりこっちをもの凄い勢いで睨んできます。他の部員はあんまり気にしてない感じで、むしろ僕を睨みつける二人に呆れたような視線を送っています。
…あはは。大変ですねー…。
そんなこんなで部活終了。
「ー。帰ろー。」
「うん。」
僕とが帰ろうとしたその時
「ちょっと待てよ。」
後ろから声をかけられた。うっわぁなんか嫌な予感…。
「早く帰ろー。」
「あ、うん。」
……無視ですか…。まぁがいいなら別にいいですけど。
が歩きだしたから僕も歩きだそうとしたら
「待てって言ってんだろ!」
肩を掴まれ、おもわず、
バン!
「うわ!」
「桃城!」
あ…やってしまいました…。
いつもの癖で肩を掴まれた瞬間、振り向きざまに投げ飛ばしてしまいました…。
「わ〜、すごーい!」
が楽しそうに拍手をしてます。いや…そこは拍手するところじゃないと思います…。
「あー…すいません。」
一応謝っておきます。
「!やっぱそんな凶暴な奴なんかと一緒にいちゃ駄目にゃ!」
謎の猫語をしゃべる人(多分この人がが言ってた菊丸先輩)がの腕を掴みます。
「や!菊丸先輩離して下さい!」
「…が嫌がってます。離して下さい。」
ちょっと殺気を出して睨んでみます。
「にゃ!」
怯えたようにから手を離した菊丸先輩は細目のなんか背中に黒いオーラを背負った人の背中に隠れました。…情けないです。
ちなみには僕の背中に隠れて菊丸先輩を睨んでいます。あーかわいい…(笑)。
「…もういいですか?僕たち帰りたいんですけど。」
殺気を出して睨みつけたまま言います。
「…あぁ。もう遅い。」
「手塚!」
「部長!」
あ、この人部長だったんですか(酷)。
メガネのあきらかに中学生に見えない人(苦笑)が言ったことに対して桃城君と菊丸先輩が声をあらげます。うるさいです。
「…菊丸、桃城。」
手塚先輩に睨まれて大人しくなりました。
「水無月、気をつけて帰れ。」
「はい。失礼します。行こ、。」
はそう言って僕の手を引いて歩き出します。何だかなぁ…。
「ごめんね。」
「ん?」
「嫌な思いさせちゃって。」
手を繋ぐが僕を見上げてすまなそうに言います。
「のせいじゃないよ。」
「本当?気にしてない?」
「うん。気にしてない。」
そう言って笑いかければもほっとした表情になります。
「じゃ早く帰ろ!今日はお母さんがの好きな肉じゃが作ってくれるって!」
「わ。僕おじゃましていいの?」
「うん!来て来てvv」
が嬉しそうだと僕も嬉しくなります。
僕たちは手を繋いで、家路を急ぎました。