それはたった一人の爺さんの言葉によって始った
【イタリア・ボンゴレファミリー本部。ボスの執務室】
「ちょっと聖杯戦争に介入してくれんかのぉ」
『は?聖杯戦争?待てマーリン、なんだそれは、聖杯戦争だと。まさか聖杯が現れたのか』
アーサー王の伝説において最も有名な聖杯探索の物語
前世でその主要人物であったアーサー王を前世にもつ沢田は、その事の重大さに目を見開いた
しかし
「いやいや、少しばかり話が違うの。ワシはの、。異世界の聖杯戦争に介入して欲しいのじゃ」
前世の師であり、現在のボンゴレ九代目である魔術師マーリンはの言葉を否定し、さらにわけの分からないことをのたまった
異世界?聖杯戦争?
理解不能な単語の羅列に、流石のアーサー王も顔を引き攣らせ脳内をショートさせた
『・・・・・・・は?』
異世界より召喚されし聖剣に選ばれた王は魔術師殺しに問いかける
「異世界の聖杯戦争に参加して聖杯をぶっ壊してちょ☆」
『ちょ、じゃない!星付けんな!!なんで異世界だ!なんで聖杯戦争だ!!もう少し詳細な説明をくれ!!』
「真っ白だった聖杯が真っ黒になって世界滅ぼせるぐらいやばいのでぶっ壊してきて欲しいんじゃ」
『しるかー!てかそんな説明でわかるかー!!それをなんで私が!?』
「だってほらアーサー王だったから」
『前世の話しだそれは!!』
「詳細な説明は直接頭に叩き込むのでよろしくじゃ。ほれ。魔法パワ〜、ホッホッホッホッほーイ!!」
『ホッホッホッホッほーイ!ってなんだー!!?』
ドッカーン!!
凄まじい爆発の後、その部屋にはボンゴレ九代目しかいなかった
「土産を期待しておるぞー!」
そんなもん期待されても無理だ
『つ・ま・り、私は前世アーサー王であったから丁度いいとお前が召喚するはずだったアーサー王と無理矢理差し替えられ召喚された。そしてどこぞの派遣社員が如く興味の欠片も無い聖杯戦争なんぞに参加せざる終えなくなったんだ。理由は私の師であったマーリン曰く聖杯はアンリ・マユというお前たちアインツベルンが第三次聖杯戦争においてルールを破って召喚したサーヴァントが原因で汚染されたようだ。聖杯が溜め込む【無色の力】は汚染されて【人を殺す】という方向性を持った呪いの魔力の渦と化すようになり果てたらしい。その力は平行世界だろうとその気になれば汚染できる狂気の塊で、わが師はそれを憂い私を此方に召喚させたようだ。え、出鱈目だ?証拠が無い?だったら聞いてくれば良いじゃないか。原因は直ぐそこにいるぞ、お前らがアハト翁と呼ぶ皺皺の爺さんが。それに資料としてはこのアインツベルンに残っているはずだ。そこに一言でもアンリ・マユ。もしくは復讐者(アヴェンジャー)という言葉があったのならば少しは私の話を信用してもいいはずだ。信じられぬのならば好きにするがいい。【この世全ての悪】を聖杯と言う殻から解放する覚悟があるのならば。忘れるな。この戦争に完全なる勝者が現れぬ様にしたのは、アインツベルン。お前達だ』
魔術師殺しとホムンクルスは自分達の召喚したセイバーからの言葉に戸惑いと、もしかしたら自分達の理想は叶わないかもしれないという一種の絶望に覆われた
何故か、目の前のサーヴァントの言葉には何処か信じられるものがあったからだ
「セ、セイバー」
『と呼んでくれ。その呼び名は余り好きではない。が、流石に戦いのときはセイバーと呼んでくれて構わない』
さて、長々と語ってすまなかったが
『私は異世界のアーサー王。・ペンドラゴンの転生者だ。生まれ変わりといったほうが正しいが、まあそんな事は気にするな』
かつり、かつりとマスターである衛宮切継の前まで歩いていく
『安心しろ。異世界から召喚された生まれ変わりであるが私もアーサー王、サーヴァントのルールは適応される。短い付き合いであるが、よろしく頼むぞ。マスター』
「・・・・・・」
この衝撃的な出会いが、もはや第四次聖杯戦争の運命ほぼ全てに干渉するとは誰にも予想が出来なかっただろう
もし仮に知っていたとするならば唯一人。・ペンドラゴンを聖杯戦争へと介入させた愉快犯。魔術師マーリンだけだった
そしてこの召喚の数日後、万が一のため過去の聖杯戦争を洗っていた衛宮切継は絶望を通り越して真っ白な状態で発見されることとなる
『ふむ、中々厄介にことに巻き込まれたようだな。エクスカリバー』
〈そうですねマスター。マーリンはまったく何を考えているのでしょうか〉
聖杯を通して無理矢理召喚された結果。サーヴァント化してしまった
それを好都合といわんばかりに霊体化し、眠らない特性を利用し、アインツベルンが過去に残した聖杯戦争に関する資料を漁りまくっていた
『御三家。ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルン、遠坂永人、マキリ・ゾォルケン・・・現在は間桐臓硯』
マーリンは聖杯戦争に介入しろといった
しかしただ介入するだけだったのならば、ただ汚染された聖杯を壊すだけだったのならば、態々召喚に干渉してをこの世界に呼び出させる必要は無い
送り込んで破壊させればいいだけだ
何かある。沢田を・ペンドラゴンとして再び戦わせた理由が
その理由を知るには、まずこの聖杯戦争の全てを理解する必要がある
マーリンの望む何かを変える為に
『帰ったらぶっ潰す。あの爺』
召喚から数日後
衛宮切継は真っ黒な目をさらに負のオーラで真っ黒に染め上げていた
それに付き添う妻のアイリスフィールもどこか意気消沈している
彼らがそうなった理由は考えればわかることであるが聖杯の汚染が現実の問題として目の前に現れたからである
切継が第三次聖杯戦争の内容を調べた結果、確かにアヴェンジャー。 復讐者の英霊は召喚されていた
その真名はアンリ・マユ。ゾロアスター教で絶対悪として表される悪神であった。しかし流石の聖杯でも神霊を呼ぶことは出来ない
当時のアインツベルンが召喚したアンリ・マユはゾロアスター教を信じる古代のある村で【ただ悪であれ】という人々の身勝手な願いからアンリ・マユとされ名と悪を背負わされた、ただの青年であった
当然であるがサーヴァントとしては宝具も持たず力も人間並みというただの青年が聖杯戦争で勝ち抜けるわけも無く、真っ先に脱落した
普通ならばこの話はここで終わっただろう
しかしそれだけでは終わらなかった
ここからは推論であるが、第三次で召喚されたアンリ・マユは人々の理不尽な【ただ悪であれ】という願いによって英霊となった存在
脱落したと言う事は、その英霊は聖杯に吸収されたはずだ
聖杯とは【人々の願いを叶える願望機】である
悪であれと願われたの英霊が、人の願いを叶える聖杯に吸収された
もし悪であれと言う【人々の願い】を願望機である聖杯が【人々の願いを叶えた】としたら
無色であったはずの聖杯の力が、悪を齎す方向性を持った呪いの魔力に変わったと言うのならば
衛宮切継の理想は、聖杯では叶えられないと言うことになる
「そんな馬鹿な。確証がない。そんな物信じられるか」
「切継・・・」
確証がないが否定も出来ない現実を目の前に、切継は逃避に走った
そんな切継のあまりに弱弱しい姿を見た事が無かったアイリスフィールは戸惑う
衛宮切継の理想はその生涯の全てと言ってもよかった。己を殺し、多数を救う為に少数を切り捨て
後一歩の所まで来てこのような結末だとは、認められるものではないだろう
『信じないのは勝手だが、お前の解釈で可能性を否定されては困るな』
「セイバー・・・」
「・・・・・」
突然実体化したサーヴァントにアイリスフィールのみが声を出した
『私の話に信憑性が出てきたのは確かだろう。現にアンリ・マユ。復讐者。これ以上無い事実が記されているではないか』
「で、でも、だからって聖杯が汚染されている理由にはならないわ!」
『それでも聖杯が汚染されていると言う可能性も消えない。まるでシュレーディンガーの猫だな』
「なら聖杯を変えてしまえば」
『ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルンと同等の魔術回路を持つものをそう簡単に用意できるとは思えんがな。それにたった一人のサーヴァントによって根本から変わってしまうような代物だ。願望機としては不十分だと思うが』
どうしようもない
汚染されているか否か
それを確かめるすべはただ一つ。聖杯戦争に勝ち願いを成就させる事
ただしそれは、この世全ての悪を余にばら撒く可能性を示している
八方塞にも程があった
それでも二人の道は決まっていた
聖杯戦争に参加する。聖杯を完成させる。第三魔法の成就
もうアインツベルンは聖杯が汚染されてようとされてまいと関係が無いのだ
たった一つの目的の為の一千年の執念の塊
それがアインツベルンの悲願であり呪い
『それとも一縷のを託しアンリ・マユに望まれた悪であれという人々の望みを叶えた聖杯に。願いを祈ってみるか?』
ああ、それを見るのもまた楽しいのかもしれない
聖杯を壊す為に召喚されたはずだが、そんなことを思ってしまった
「・・・・・なら」
『(やっと、話してくれたか)』
「なら僕はどうすればいい。僕の理想はもう聖杯でしか叶えられない。でもそれが叶わないのなら、僕は・・・一体・・・」
『しるか』
笑顔でバッサリとぶった切ったであった
『私が答えたところで、それは私の答えであり衛宮切継の答えではないだろう。お前の答えは結局誰に相談しようともお前が決めることだ』
「・・・セイバー」
『王であった私でさえ他人が完全に納得する言葉など紡ぐ事は出来なかった。何処かで矛盾があり、何処かで間違いがある。だから私はお前が納得する答えなど持ち合わせてはいない』
目を閉じ、昔を懐かしむようには続けた
『精々悩め、衛宮切継。時間があるうちにな』
『お前には、まだ失いたくないものが残っているだろう』
『生きているのだから、取り返しがつく内に自分が本当に望む道を見つけろ』
『死んでしまったら、道すら選べなくなるのだから』
は優しく微笑むようにして霊体化していった
『それからもう一つ。泣いている子どもを置き去りにする親ほど残酷なものは無いぞ。特に親からな愛を一身に受けている子どもにとっては特に』
まだ不完全燃焼であるが、衛宮切継とアイリスフィール・フォン・アインツベルンに言いたい事は言い切った
それでも彼らが聖杯を求めるというのならばそれも彼らあの選択だ
その選択の先にどんな絶望が待ち受けていようとも選んだのは彼らであり、その咎を背負うのも彼ら
介入したと言ってもどうしようもないのだ
彼らの意思にまで介入は出来ないのだから
〈今度は何を調べますか?マスター〉
『次は今回の聖杯戦争の参加者達を。衛宮切継のことだ。電話線に以外にもパソコンをインターネットに繋いでいたり、外に様子を部下など報告させているに違いない』
〈敵を知り、己を知れば・・・ですか〉
『孫子か。なるほど今行っていることはまさしく敵を知ることだな』
ふふと笑いはこのアインツベルンの城で唯一パソコンが置いてある部屋へと向った
霊体化とはこうしてみれば本当に便利だと思った
己の物理法則を無視して鍵を開けずとも部屋の中に入れるからだ
ただこの霊体化に慣れてしまうと元の世界に帰った時に相当不便な思いをしてしまうだろう
それだけは出来るだけ避けたい
机の中からファイリングしてあった資料を見てみる
『ケイネス・エルメロイ・アーチボルト。遠坂時臣。間桐雁夜。言峰綺礼。現在わかっているマスターは衛宮切継を入れて五人』
ケイネス・エルメロイ・アーチボルトと遠坂時臣はなんとなく聖杯戦争への参加理由がわかる
資料にもあるように彼らは古典的な魔術師らしい
古典的ならば、大抵理由も古典的だろう
特に遠坂は御三家だ。参加する理由なんてアインツベルンと似たり寄ったりだろう
謎なのは間桐雁夜だ。彼は家を出奔して十年近くルポライターとして旅をしていたらしい
それが何故聖杯戦争に参加なんてする?金か、名誉か
ならば何故最初から出奔などした?名誉の線を考えると理由から除外される
魔術の修行の為に家を出たなどと言うのもないだろう。魔術の修行ならルポライターなんて職業につくわけがない
金・・・・、態々命を張ってなんでも願いの叶う願望機に金を要求するか
じゃあなんだ?命をかける聖杯戦争に一般人として生きてきた男が参戦する理由が
『・・・・・・・これか』
御三家である遠坂と間桐のここ数年の動きが詳細にしるされた資料を手に取る
どうも間桐雁夜と遠坂時臣の妻、遠坂葵は幼馴染で間桐雁夜が家を出た後も定期的にあっていたらしい
そして間桐雁夜が家に戻った直前に遠坂家の次女、桜が間桐家に養子入りしている
幼馴染の娘が自分の家の養女になった
そしてその家は十年以上連絡もせず家出したも同然の実家
〈これならマスターも納得がいくんじゃないんでしょうか〉
『間桐雁夜は遠坂桜の為に家に戻り、聖杯戦争に参加した。確かに一番しっくり来る』
〈もしかしたら間桐の家から遠坂桜助けようと戻った。・・・・これならもっとしっくりくる〉
もしかしたら、間桐雁夜とは平和的解決が可能なのかもしれない
『次は、言峰綺礼』
〈・・・・・・〉
この男については、直感的に危険だと判断してしまった
理想も無く、悲願も無く
『目的が見え無すぎる。なにをするにも完成の一歩手前で停止させて壊している』
まるで、世界の全てか虚無であるかのように
『いや、完成直前で否定してしまう。否定。いや悪か・・・・・・どうやってもこの男の本質は、きっと直にあっても理解するのは難しいんだろうな』
〈・・・・・マスター〉
己の中にあるエクスカリバーが心配そうに声を掛けてくる
『難しい。これほどまでに難しいと感じた戦争は久々だ』
大きなため息が、零れ落ちた
「あー!キリツグのお部屋にしらない人がいる!!」
『・・・・・え?』
資料から目を離して視線を下に向けてみると
「だぁれ?キリツグのお友達?」
『・・・・初めまして。イリヤスフィール・フォン・アインツベルン』
「イリヤのこと、しってるの?」
アイリスフィールと切継の娘がそこにいた
で、イリヤスフィールに見つかってしまったはこのことを切継には知られたくなかったので口止めをしようとしたのだが
「じゃあ、イリヤと遊んで!!」
無邪気な笑顔でそう宣告されたのなら断る理由はないだろう
まあ、城の中でできる簡単な遊びであるが綾取りとかお手玉とか
今世、沢田が生きてきた中で知った小さい子どもが遊べる様な内容の物を選んだ
「すごいすごいすごいすごーい!イトがお船になった」
『・・・じゃあ、これなーんだ』
「えっと・・・ハシ!」
現在絶賛綾取りゲーム中
小学生だった時の経験が生かされます。一時期綾取りブームなるものが来たから
そんなこんなで、前世・ペンドラゴン。現在沢田は八歳の少女イリヤスフィールに懐かれることとなったのであった
「セイバー、これは」
『・・・・・お前等、子どもの面倒ぐらい見ておけ』
遊び疲れて寝てしまったイリヤ
そしてその後に来た親二人
なんだよ。さっさと来いよ。不貞腐れながら会いにスフィールにイリヤを渡す
『寂しがっていたぞ。父も母も最近忙しそうだって』
「「・・・」」
『図星か』
聖杯戦争の準備の為にイリヤを見る時間が少なくなっていたのだろう
まったく、こんな小さい子には親の愛情が必要だと言うのに
子どもは未来を作る大切な存在だ。愛情一杯に育てろ
それとも何か?理想と子どもだったら理想とるってか?
グチグチと呟かれる言葉にアイリスフィールと切継は胃の辺りを押さえた
自身は愚痴のつもりは無いのだがブツブツと小言を言ってはいる
子ども大切にしろやゴラぁ
「あ、あの。セイバー」
『ん?まだ言い足りないが』
「あの、イリヤのことでもあるんだけどね。少し聞いてくれるかしら」
『・・・・・聞こう。・・・の前にイリヤを寂しがらせた件について聞こう』
笑顔でアイリスフィールの意見を斬った
子ども一番ですから
つまり聞きません。聞かせたかったら令呪でも使ってください
あ、聖杯を壊すなって命令は絶対に何があっても受け付けませんから
「僕からも頼む。話を聞いてくれ」
『令呪でも使えばいいではないか』
「・・・・君が令呪がきか無そうだから」
『サーヴァントは召喚されてしまえば道具とは誰の言葉だったかな』
僕だ。まだ根に持ってる
心が狭いんじゃないか。アーサー王
『狭くて結構。だが人の事はいえないぞ衛宮切継』
ここで、ふと衛宮切継のまとう雰囲気が変わった事に気がついた
以前は常に狙われているようでピリピリしていたのだが、今は何処かやわらかい
まさか、こんな早く答えが見えたのか?
突然無言になったに切継は疑問符を浮かべた
『・・・・雰囲気』
「え」
『雰囲気、前と変わったな。やわらかくなったというか』
まあ、切継とアイリスフィールに色々と話して。そこから参加者の資料を頭に入れて、そしてイリヤと遊んでいたから
切継との会話から二十時間以上は経過していた
正確には丸まる一晩越えた
心を整理するには短い時間だったろうが。とりあえずの答えを出せたのだろう
『わかった。話を聞こう』
そして、は切継とアイリスフィールの出した結論に度肝を抜かれることとなる
そして月日は流れ、聖杯戦争が行われる冬木の地へと向うことになった
『・・・・で、出した答えが。
家族総出での脱走か
』
「人聞きの悪いことをいわないでくれ」
「イリヤも、お母様たちといっしょにいけるの?」
「ええそうよ。一緒に切継を応援しましょうね」
「うん!!」
なんて微笑ましい風景だろう
現実から遠のいた頭がさらに遠くなっていくのを感じる
でもそれは聖杯を諦めたが故の判断ではなかった
結局、二人の出した答えは保留だったのだ
日本から遠く離れたこの城であーだこーだと推論を立てても何もわからない
だから実際に見てから決めることにしたのだ
聖杯が汚染されているかどうか
自分達の祈りは叶えられるかどうか
一縷の望みをかけて日本へ赴き、聖杯の真実を知る
それが二人の結論だった
ただ、理論上は汚染されている可能性が高い。もしかしたら自分たちは聖杯を解体することになるのかもしれない
そうなった場合自分たちはアインツベルンに裏切り者とされ、城においていくイリヤとは二度と会えはしないだろう
そうならないための保険としてイリヤを連れていくことにした
『とは言っても衛宮切継。サーヴァントは私一人だ。万全の体制とはいかないぞ』
「それなら君の宝具を使えばいいだろう。三番目の宝具を」
『・・・・なるほど』
・ペンドラゴンの宝具は三つあり、その三番目の宝具は元の世界にいる仲間と騎士達をこちらに呼べるというものだった
それはつまりランスロット、パーシヴァル、ベディヴィア、ガウェイン、モルドレッド
円卓の騎士を前世に持つ者達である雲雀恭弥、六道骸、笹川京子、ザンザス、白蘭
今の仲間である獄寺隼人、山本武、笹川了平、クローム髑髏、ランボ
もしかしたらディーノや出来るだけ呼びたくないがリボーンですらこちらに呼び出せる可能性がある
時間制限はあるもののほぼチートな宝具だ
『まあ、またあいつらと一緒に戦って、裏をかいて、正々堂々不意打ちをして戦って見るのも悪くは無いな』
「・・・・この世界のアーサー王が君のように捻じ曲がった根性の持ち主でないことを祈るよ」
『お褒めの言葉頂き誠に恐縮であるマスター。私の目的は汚れた聖杯の破壊だ。でもその汚れた聖杯でも通常の機能を果し願いが可能のだとしたら、止める道理は無い。こんな気紛れな私であるがお気に召していただけたか?』
「僕の持っていた清廉潔白なアーサー王のイメージよりはマシだとは思うよ」
『それはどうも』
衛宮切継の言葉に肩をすくめて彼女は笑った
「僕とイリヤは先に冬木へ行き、御三家と先に着いたマスター達の下調べをしようと思う。アイリとは後から来てくれ。アイリをセイバーのマスターだと誤認させる作戦だ」
『ああ、それなら打って付けの奴がいるが呼ぶか?』
「この作戦に打って付けの人?そんなひとがいるの」
『ああ、パイナップルのような頭とクフフフがトレードマークの世界最強クラスの幻術師。そして前世私の部下だった男だ』
「今でも僕は貴方の騎士ですよ!!」
突然現れた第三者に切継はナイフを声のある方向へと飛ばした
しかしそのナイフは三叉槍によって防がれる
「聖杯戦争なんてものに呼び出されて、あの爺さんにこき使われているんですか!!」
『紹介しよう。六道骸。そして私の騎士パーシヴァルだ』
「無視ですか!!」
突然の遣り取りにぽかんとなる切継とアイリスフィールだったが、切継は直ぐに冷静になった
「なるほど。それが宝具の力か」
『ああ。試してみた』
試してみたで急に人を呼ばないで欲しいんですけど!!
骸の叫びは無視された
『結果は上々。これならばイリヤを冬木に連れて行っても安全度は上がった。私の騎士の一人を護衛につけよう』
「・・・・信用できるのか?」
『私たちの絆を見くびるな。私の宝具としてこうやって顕現したのだから、それこそが最高の証拠と言える』
「そうだな」
『さて再び紹介だ。彼は六道骸。そして私の前世の騎士パーシヴァル。切継。彼を好きなようにこき使ってくれ。ヴァル。切継の命令に従え。これは私の命令だ』
「・・・・・・・・」
『・・・・返事は?』
「わかりました。我等が王よ」
それが数十時間の出来事
今、・ペンドラゴンとアイリスフィールを乗せたジェット機は冬木の地へと降り立とうとしていた
慌しくもなぞを残しながら始まって行く第四次聖杯戦争
セイバー陣営の聖杯戦争はそれら多くの事をミックスして賑やかに始まろうとしていた
『ちなみに最初に言って置こう。私はハッピーエンドが大好きなんだ』
そして、色々な歯車が狂っていく
「■■―■■■■■―■■■■■■■■!!!!!」
「気に入らない。何故だか君はパーシヴァル以上に気にいらない。君のような傍迷惑で真っ黒な奴は嫌いだ。いいよ、かかって来ればいい。僕も君をかみ殺す」
『殺すな。生け捕りにしろ』
「俺は、主への忠義を尽くす!」
「そんな薄っぺらい忠義。私に勝てるわけが無いよ。あはははははははは。その言い方だとランサー、君は忠義を尽くせる相手なら誰でもいいって聞こえるよ。私そう言うの大嫌いなんだ。だから大人しく私に倒されてよ。あははは」
『だから殺すなって』
「余は征服王イスカンダル!ほしいものがあるのならば正々堂々奪いとればよかろうて」
「ははははは、すっげーのなオッサン。だけどな、ヒトの物取っちゃいけねーって親父に教えられたからリャクダツってのは無理なんだわ」
『武・・・・、お前略奪の意味知らないだろう』
「クフフフフフ、こんな所でこのような少女に会うとは」
「おにいさん。だれ?おねえさんも、だれ?」
「私、クローム。貴方の名前は?」
「桜」
「お、俺は、時臣の奴を!!」
「殺してーか?だかな殺したら殺したで面倒な事になるぜ。殺したらそいつの家族が泣いちまうんだからな」
「だか!アイツは!!」
「そんな最低ヤツにも家族はいんだよ!!悲しむ奴がいる!!それを考えろ!!」
『落ち着け隼人』
「さん!アネキ呼んでください!コイツにアネキのポイズンクッキング食わせれば直りますきっと!!」
『その前に天に召されるから止めろ』
「私は、遠坂の悲願である根源の渦へと辿り着く!!」
「うっせぇ!悲願だかなんだかなんだか知らなねぇが邪魔をするなら容赦なくカッ消す!!」
「魔術師でない者に何がわかる!!」
「ああ、何もわからねぇ!だがな、親に捨てられた子どもの気持ちならわかるぜ!!・・・この憤怒の炎で跡形も無く消してやらぁ!!」
『・・・・・キレたか』
「ねぇ〜、チャン」
『なんだ?』
「マトウって家。壊してきて良い?正確にはゾウケンって人」
『行って来い。モルドレット。いや白蘭』
「ははははははは!!中々面白いではないか!此度の聖杯戦争、何もない唯の有象無象の戦いだけではなかったか!ははははははは!!」
「ほっほっほっ、わしも人類最古の英雄王に会えてホントにうれしいのぉ。ほっほっほっ」
『おい元凶!なんで貴様がここにいる!!』
「暇で詰らんかった」
『この爺さん手に追えない!!』
「ソラウ、私は」
「ケイネス・・・・・・」
「僕のランキングによるとね、ケイネスさんはソラウさんを愛してるランキングぶっちぎりで第一位なんだ!」
「なっ!」
「でも魔術師ヘタレランキングでも上位に入ってるから、中々愛してるっていえないんだよね!」
『・・・・フウ太、そこまでにしてやれ。ケイネスが恥ずかしくて死にそうになってる』
「超クールだよアンタ!!」
「あなたは性格をクールにしてきなさい。ボイズンクッキングー!!」
『・・・・・・この時代の医療でも生きていられるか?』
「・・・・ヴォォォオオオイ。やっぱ上司が上司だと疲れるなぁ」
「勿論でございます。綺礼さまにこき使われここ一年は、ううううう!!」
「わかるぜぇ、俺だってクソボスがウィスキーのビン投げてきたりしてよォ!」
「ああ、そのようなめにあっているのですか!?」
『・・・・・・・なんでアサシンと意気投合してるスクアーロ!!』
「馬鹿にしやがって馬鹿にしやがって馬鹿にしやがって!!」
「ランボさんも馬鹿にされてるもんね!!」
「・・・・それはただ、君が本当にウザイだけなんじゃないのか?」
「ぴぎゃ!!」
『的確すぎて目も当てられん』
「ジャンヌよ!聖処女よ!目を覚ますのです!!」
「「「「「もう一遍くたばれ!!」」」」」
「ジャンヌゥゥゥゥウウ!!」
『・・・・おーい、そいつ一回死んでるぞ。まあ一応英霊だからどれだけぼこった所で平気だろう』
「私は、何故聖杯に選ばれた?」
〈それって、答えが無くてはだめですか?〉
「何?」
〈理由が無ければ。答えが無くては貴方はここにいられませんか?〉
「・・・・・・・私は」
『・・・・・・・・・・・・・』
『さあ、聖杯への答えは出たか?衛宮切継、アイリスフィール・フォン・アインツベルン』
「ああ、出たよ」
「ええ、そうね」
『答えを聞こうではないか。お前たちは聖杯をどうする?』
「僕達は、聖杯を・・・・・・・・」
『それが、マスターであるお前の願いだというのであれば』
これは、異世界のアーサー王のよる
第四次聖杯戦争の全てである
「ブリテン王。アルトリア・ペンドラゴンがその剣、止めさせてもらう!!」
『ならば来るが良い英霊アルトリア!!その意思を持て、我が剣を打ち砕けるものなら打ち砕くが良い!!私は・ペンドラゴンの生まれ変わりにしてボンゴレ十代目沢田だ!我等をとめられるならとめて見せろ!!』
この世界の騎士王と聖剣の王は刃を交わす
もう一つの始まりの物語
きゃああああvv
箱庭からの祈り
のシキ様より、一万ヒット記念の先着五名リクエストでリクエストさせていただきました!素敵すぎる…!ありがとうございましたー!
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