いつかのバレンタイン
二月十三日。黒崎家のキッチンには甘い香りが充満していた。
「……おい、一護。」
「んー?」
「何作ってんだ?」
巨大なボウルを抱え泡立器を器用に動かしながら足元に座る銀灰色の猫に視線だけを向ける。
「明日はバレンタインだからなー。チョコレートケーキだ。」
「…あぁ。そうか。って、なんで一護がやる側なんだよ。」
もっともな疑問である。
「それよりも俺はコクトーがバレンタインを知ってることに驚きだ。」
「俺だってそれくらいは知ってるっての。で、なんで一護がやる側なんだよ。外国式か?」
「……………ちげぇよ。なんか知んねぇけどやたら俺にたかってくるんだよなー。で、一人にやるとほかの奴らもほしがって、喧嘩になるから、全員分…クラスメイトと尸魂界と、どっから聞きつけたのか仮面の軍勢の奴らも言ってきてるんだよなー…。あ、あと浦原さんとこだな。」
家族の分はもうデフォルトだしなーと、会話をしながらも手は常に動いている。さすが。
「あ、ちゃんとコクトーの分もあるぜ?」
「は?俺?」
「当たり前だろ。なんなら人型に戻ってデートでもするか?」
「なっ///!」
急に顔を近づけられて思い切り仰け反る。…猫がやる行動じゃないよね(今更)。
「あはは。デートは冗談だけど一日ぐらい人型で自由行動ってのは許してやってもいいぜ。」
オーブンをセットしながらサラリと言ってのける一護にコクトーは思う。
―心臓に悪い!―
一護はどれだけ自分が美人であるかの自覚が皆無といっていい。そんな一護にいきなり顔を近づけられて、
「(…し、心臓止まるかと思った…!)。」
もう死んでるじゃねぇかという突っ込みはスルーしてあげてほしい。
「よし。あとは焼けるのを待つだけだな。コクトー、お前は明日のこと考えとけよ。」
「…おう。」
いつかのバレンタイン
(ほれ、じゃぁ一日自由行d(一護、デートしようぜ)(は?俺学校、)(サボれ)
ごめんなさい・・・!(スライディング土下座)。
映画公開して地獄組×一護に滾って書いた小説の設定で降りてきたネタで頑張ってこうなった(え)。
コクトーが微妙にへたれ…!