アネモネの華の香り

突如として現れたC.C.に部屋の中は騒然となった。

「シー・・・ツー・・・?」
「やぁ、一年ぶり・・・といったところだな。」
唖然とする面々に、C.C.は一年前と同じ笑みを向ける。
「え!ちょ!C.C.!?本物?!あんたルルーシュと一緒にどっか消えたはずじゃなかったの?!」
一番に正気を取り戻したはいいが、今度はパニックに陥るカレン。・・・きょどりっぷりが傍から見てるだけだととても面白い(え)。
「まぁな。今は私とスザクとオレンジとアーニャとマオとルルーシュの六人で仲良くほのぼのオレンジ栽培(ジェレミア担当)をしながら暮らしているぞ。ちなみに家事担当はルルーシュだ。毎日ルルーシュの宮廷シェフ顔負けな料理が食卓に並ぶ。どうだ。うらやましいだろう、ルルーシュを裏切った馬鹿どもめ。」
いろいろとうらやましい限りな上に最後の台詞に身に覚えのある面々(ロイド、セシル、ラクシャータ、咲世子以外)が言葉を詰まらせる。
「・・・・・・それで、C.C.さん、今日はわざわざそんな恨み言をおっしゃりに来たのですか?」
ナナリー復活。顔は笑ってるけど背後の黒いものをどうにかしてください(無理です)。それに一歩も引けをとらないC.C.はいろいろと最強だと思う(セシルと咲世子とラクシャータもぜんぜん平気そうな顔をしている)。
「そうだな・・・・・・お前ら、ルルーシュに会いたいか?」
「もちろんです。妹が兄に会いたくないわけないでしょう?」
「・・・・・・・・・それが『人殺し』と自分が突き放し、『裏切り者』と罵り、憎悪した相手でもか?」
低く、怒りと悲しみを孕んだその言葉に、その場の空気が凍る。
そう、ロイド、セシル、ラクシャータ、咲世子は別として、カレンは元・騎士団。シュナイゼルもルルーシュと対立し、傷つけ、ナナリーは『人殺し』と突き放した。ルルーシュの想いも知らずに。
「そ・・・それでも!あたしはルルーシュに会いたい!会って、謝りたい!!」
「お願いです、C.C.さん、お兄様の居場所を、教えてください。」
C.C.は無表情で全員の顔を見つめる。無表情な者、必死の表情な者、何を考えているのか解らない者etc。
しばらく沈黙が続いた後、C.C.は大きく息を吐く。その動作に、一同、びくりと震える。
「・・・・・・・・・お前たちが本当に反省しているのはわかった。ルルーシュに会いたいというのも解った。だが、まだお前たちにルルーシュの居場所を教えるわけにはいかない。」
吐き捨てるように言って、C.C.は無表情に背を向ける。
「私の一存でルルーシュの居場所を教えるわけにもいかないし、それに、教えたところで、他の、未だにルルーシュを憎悪しているやからに聞かれでもしたらたまったもんじゃないからな。私たちはあいつが大切なんだ。大事な宝石を傷つけられると解っていて、在り処を教える馬鹿は、居ないだろう?」
背を向けたまま、ふっと、自嘲気味に笑う気配がする。
「・・・・・・・・・どうすれば、ルルーシュ様の居場所を、教えてくださるのでしょうか。」
C.C.の背中に、咲世子の声がかかる。
「・・・さぁな。お前たちの話をするとルルーシュが複雑な表情をするから、様子を見に来てやっただけだしな。・・・あぁ、私をつけても無駄だぞ。私はC.C.だからな。」
いつものきめ台詞(え)と共にC.C.は姿を消す。後にはいろいろな感情が入り混じった表情をする人々が残された。

グダグダ(今更)。最初はここでC.C.にルルの居場所暴露してもらおうと思ったんですが、やっぱ必死こいて探して自力で来て頂かないとね☆というわけで止めました。シー様だったらさらっと言葉のいろんなところに棘を含ませて語ってくれると思うのです(笑)。
※アネモネの花言葉→あなたを信じて待つ、期待
← 戻る