続き。咲ルル・アニャルルな感じで。















アゲタラムの咲く庭で〜2〜

それからしばらくしてベッドから出られるようになったルルーシュは咲世子と一緒に家の家事をするまでに回復していた。
頻繁に人が訪れるような場所ではないそこで、たまに買い物に出かける咲世子たちから聞かされる人々の様子にルルーシュは穏やかな微笑みを浮かべる。

「はい、ルルーシュ様。もう傷もすっかり消えてます。ほかの組織も綺麗に再生されていますから心配はありませんよ。ですが、無理はなさらないでくださいね。」
「あぁ、ありがとう。セシル。」
セシルに傷の具合を確認してもらい、服を着替える。
傷もあらかたよくなったころルルーシュは自分の目で復興しつつある日本の現状を見たいと言い出した。最初は傷が完全に癒えていないということで反対する面々の意見も通っていたが、さすがに傷が完全に癒えてしまえばその理由は通らない。結局誰か一緒について行くということで妥協した。因みについて行くのは咲世子とアーニャ(ジェレミアが行きたいと言い張ったが、ルルーシュと共に顔が知られているため却下)。
「じゃぁ、行ってくる。」
「お気をつけて。」
「咲世子、アーニャ。ルルーシュ頼んだぞ。ルルーシュ、土産はピザでいいぞ。」
「・・・・・・・・・・・・土産前提か?まあいい。留守は頼んだぞ。」
そう言って出て行くルルーシュの背中を見送って留守を任された面々は少し、複雑そうな顔をする。
「ルルーシュ様・・・大丈夫でしょうか。」
「大丈夫だろう。今までルルーシュは『男』として表に出ていたんだ。顔を見られても、『そっくりさん』で済むさ 。それに、咲世子とアーニャがうまくフォローするだろう?」
そう、セシルたちが心配しているのは『ルルーシュ』が見つかってしまうこと。それによってまた世界の悪意が『ルルーシュ』に向けられること。皇帝であった『ルルーシュ』は死んだ。世界の悪意をすべて背負って。今ここで生きている『ルルーシュ』はただの一人の儚い少女。つい最近まで大怪我をして療養していた、普通の少女。ここに居る皆が、これ以上ルルーシュに悪意を背負わせることを、望んでいない。むしろ、今までつらい思いを指摘たぶん、幸せになってほしいと。そう、心から願っている。
「・・・・・・ルルーシュ様によくない環境となったら、ここから離れなきゃいけないねぇ〜。」
「そうなったらオーストラリアにでも引っ込むか。あそこにはマオが私と住むんだといって用意した家がある。」
「マオとは?」
「私がギアスを与え、この手で殺した、哀れな子だよ。」
ふっと自嘲気味に笑うC.C.にかける言葉が出ない。
「まぁ、いざとなったらそちらに移るのも手だな。マオは人の心を読むギアスを持っていた。それゆえに人に接触するのを嫌がった。だから、家がある場所も人と必要最低限の接触しかしなくて住む場所にあるだろうしな。」
この話題はこれで終わりだといわんばかりにC.C.は大きく伸びをすると自分の部屋に引きこもる。それにほかの面々も続き、それぞれの役割に戻って行った。

そのころルルーシュは咲世子やアーニャと共に街中に出ていた。大きな白い帽子で顔を隠しながら、食材の買出しや自分たちの服、雑貨の買い物をするという、ごく普通の女の子の日常風景。今までルルーシュが望めなかった穏やかな時間。そして、ルルーシュは辺りを見回して微笑む。
人々が幸せそうに、笑っている。それこそが、ルルーシュの望み。明らかにブリタニア人と思われる人、日本人と思われる人も、わけ隔てなく、笑っている。その光景にルルーシュは嬉しそうに心のそこから満足そうに微笑んだ。
「・・・なぁ咲世子、アーニャ。」
「なんでしょう、ルルーシュ様。」
「私がやったことは、正しかったと、思っていいんだよな。」
満足そうに微笑みながらも、どこか申し訳なさそうに呟くルルーシュにアーニャが抱きつく。
「・・・アーニャ?」
「・・・ルルーシュ様は間違ってない。ルルーシュ様はブリタニアを変えた。ルルーシュ様はそれを誇りに思っていい。」
しっかりと断言するように言うアーニャの言葉に、ルルーシュは一瞬目を見開いて驚き、次の瞬間には優しい笑顔を返す。
「ありがとう・・・アーニャ。さぁ、買い物を済ませてどこかで休憩しよう。」
にっこりと微笑んでアーニャの手をとり、人ごみの中へと消えていった。

その姿を、近くに止まっていた車の中から見つめる姿があった。
「・・・ルルーシュ・・・。」
その人物はルルーシュが去っていったほうを見つめて、愛おしげにそう、呟いた。

ルルーシュお出かけの巻(え)。女の子の日常っていうのをやらしてあげたかったという(笑)。
にょたの醍醐味、お嬢様ルックで!(爆)。この日のルルーシュの格好は白ワンピースに白い帽子です。
イメージは『高原のお嬢様』で!(爆)。
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