コチョウラン―あなたを愛します―前編
エリア11に黒の騎士団とその司令塔なる『ゼロ』が現れた。
その姿を見て、ブリタニア第三皇女ユーフェミア・リ・ブリタニアはその表情をほころばせた。
「やっと見つけた・・・私の大事な大事な・・・アメジスト・・・。」
うっとりと、その瞳には強い意志の光を湛えて。
黒の騎士団のトレーラーの前にブリタニア人の少女がいる。ゼロに会わせてほしいと言っているとの報告を聞いたゼロはカレンを従えて少女がいるというトレーラーの入り口へと向かう。
「ゼロ・・・大丈夫なんですか?こんな、のこのこと出て行って・・・。」
『そのときはお前が守ってくれるのだろう?我が騎士、カレン。』
心配そうに呟くカレンにそう応えれば、嬉しそうに目を輝かせる。
トレーラーの前にたどり着くと、そこには扇や玉城、藤堂たち幹部に銃を突きつけられた少女が脅えもせずに立っている。
『そいつか?報告にあったブリタニア人の少女というのは。』
「あ、ゼロ・・・。」
扇が声のしたほうを振り返ったその瞬間、
「ゼロ!!」
嬉しそうな声を上げて銃を向ける団員の間を掻き分けてゼロに抱きつく少女に全員が驚く。その行動にも驚いたが、駆け出したときにかぶっていた帽子が飛び、その顔がさらされる。その少女は・・・
「ユーフェミア?!」
ピンクの髪を揺らしてゼロに抱きつくエリア11副総督ユーフェミア・リ・ブリタニアにゼロだけでなくほかの幹部たちも固まる。
『・・・何故副総督であるあなたがこのような場所に護衛もつけずにどんな御用ですかな?ユーフェミア皇女殿下。』
「うふふ。そんな他人行儀な呼び方ではなく、昔のようにユフィと呼んでくださいな。ゼロ。いえ、ルルーシュお異母兄様。」
『!』
名を呼ばれ、あっさりと仮面をはずされる。そこには黒髪にアメジストの瞳の美少年。
「あぁ、やっぱりルルーシュ!!」
嬉しそうに、固まるゼロ―ルルーシュ―にさらに抱きつくユーフェミアを見て、一番に復活したのはカレン。
「ってちょっと!なんでルルーシュ!?っていうかお兄様ってなんなのよ!!」
「そ・・・そうだぜ!ゼロてめぇ!」
「・・・騒ぐなカレン、玉城。とりあえず中に入るぞ。ユフィも。」
「はいv」
ものすごくエネルギーを消費したような疲れた顔をするルルーシュにルルーシュの素性を知っている藤堂とラクシャータは苦笑した。
中に戻り、ユフィとC.C.を伴って自室に戻ろうとするルルーシュをカレンが引き止める。
「ちょっと!ルルーシュ、説明がまだよ!」
「・・・俺のことは藤堂とラクシャータが知っている。二人から聞いてくれ。ほかに聞きたいことがあればあとで聞く。とりあえずユフィの話を聞いてどうするか決める。」
はぁとため息をつきながらユフィとC.C.を伴い、疲れたように自室へと入っていった。