Quince Requiem〜act1〜
百年近く前。滅多に人も近寄らないような森の中に立つ小屋に、私は住んでいた。人形なのに”住んでいた”と言うのはおかしいか?だが実際私は”住んでいた”んだ。私は”生きた人形”だった。
「”生きた人形”?」
「ああ、その名の通り、私は”生きて”いた。私を作った高齢で、子供もいなかった人形師である主人が”子供が欲しい”という願いをこめて私を作ったからなのか、私には魂が宿り、自分で動けるようになった。」
「では、他にも”生きた人形”が?」
「いや、後にも先にも私のような人形は、私で最後だったらしい。」
ナナリーをベッドに横にならせ、ルルーシュはその隣に腰掛け、再び物語を紡ぐ。
私を作った主人も亡くなって、私は独りになった。たまに迷い込んだ旅人なんかがやってきたりはしていたが、私を見ると「化け物」と言って逃げて行ったな。別に私は何をする力もないのに。その姿が滑稽だった。私の住んでいた小屋は「化け物が住んでいる」という噂が付きまとうようになり、そういった何も知らないもの意外、誰も近寄らなくなった。
そんな時、私は森の中で一人の人間の男を拾ったよ。「行き倒れ」というものだったのだろう。その頃はそんなに珍しくもなかったからな。
私は何故かほおって置くことができなくて、男を小屋に運んだ。
思えばそれが私の運命を大きく変えた。
私は男が目覚める前にどこかに隠れようとしたよ。毎回毎回人間は私を見て「化け物」と言って怯えるのがオチだからな。いい加減、バリエーションがなくて飽きたよ(苦笑)。だけど、そこで誤算が起きた。
「ん・・・確か俺は山の中で倒れて・・・。」
「!」
私が隠れる前に男が目を覚ましてしまったんだ。もちろん思いっきり見つかったよ。
私は大声で叫んで怖がられるのを覚悟したさ。でも、
「・・・?」
いつまでたっても叫び声が聴こえない。驚きすぎて気絶でもしたのかと思って恐る恐るそっちを見たらその男、なんていったと思う?
「なんていったんです?」
ルルーシュは本当に楽しそうに、懐かしそうに微笑んだ。
ルルーシュ語り。・・・む・・・難しい・・・。
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