Quince Requiem〜act6〜
一方の藤堂鏡志朗も、軍の演習の合間に『ドールランド』について、ナナリーの騎士として常に隣にいる『ルルーシュ』について自分で情報を集め続けていた。
初めて対面したのは、ナナリーの母であるマリアンヌにつれられてやってきたとき。初めて見たときから、ルルーシュは”流々”ではないかという思いが心の中を埋め尽くしていて、何度か会うたびに、その思いは確信へと変わっていった。
「ルルーシュお姉さま、お話があります。」
次の日の朝、身支度を整えたナナリーは真剣な表情でルルーシュに向き合った。
「・・・どうしたんだ?ナナリー・・・。」
「お姉さま。もう、お姉さまは自由になってください。」
「え、」
言われた意味が理解できない。
「ナ、ナナリー?」
「いつまでも私も子供ではありません。高位の方々からは白い目で見られてますが、C.C.さんは私を女王の最有力候補にと考えてくださっています。ですから、大丈夫です。」
きっぱりと、有無を言わせないその言葉にルルーシュはなんだか悲しくなる。
「・・・ナナリーは・・・もう・・・私は・・・いらないんだな・・・、」
泣き笑いのような表情をするルルーシュにナナリーは慌てて、ルルーシュに歩み寄り、背伸びをして、その頬を両手で優しく包み込む。
「そうでは在りません、お姉さま。お姉さまはずっと、私を、護ってくださいました。」
位もそんなに高くない母親を持ちながら、女王候補上位に名を連ねるものとして、日々あらゆる悪意を向けられながらも、ここまでいられたのはルルーシュがいたから。ルルーシュがいなかったら、ナナリーはそれらの悪意に押しつぶされていただろう。そうならなかったのはルルーシュのおかげ。
ですから、
ナナリーは精一杯背伸びをして、ルルーシュの額にキスをする。
「一人の女性として、幸せになってください。」
次の瞬間、ルルーシュの体は驚きの表情のまま光に包まれ、そして、消えた。
「ご苦労だったな。ナナリー。」
「・・・C.C.さん、女王陛下が勝手に出歩いていいんですか?」
気づけば背後にはC.C.が黄緑色の長い髪を揺らして面白そうな表情で立っている。
「私はC.C.だからな。それより、新しい騎士連れてきたぞ。お前も良く知っている奴だ。」
そう言うC.C.の隣にはナナリーと同じくらいの年齢(に見える)桃色の髪の少女。
「アーニャさん。」
「ナナリー様、私、ナナリー様の騎士になる。よろしく。」
「ええ。こちらこそ。」
ほのぼのと挨拶を交わす二人はC.C.の声で我に返る。
「ナナリー、お前はもう一つ、大事な仕事が残っているだろう?」
「・・・そうですね。最後の仕上げが成功しなくては、お姉さまは、自由になることなんて、できないのですから。」
そう言ってナナリーはアーニャに目配せすると、人間界に住む母親の屋敷へつながる鏡へと身を躍らせた。
クライマックス!ルルーシュの変わりにアーニャつれてきました。スザクでもいいかと思ったけどやっぱここは女の子同士で!(爆)。
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