バレンタインの憂鬱
「はい!ぼーさん!ハッピーバレンタインー!」
「はい?」
ナルちゃんに呼び出されて事務所の扉を開けたと同時に目の前に現れた麻衣に何かを押し付けられた。
「はい?じゃなくて。今日はバレンタインだよー。だからはい。チョコレート。」
「え・・・あ・・・そうか。今日バレンタインだっけなー。」
どうりで街中あちこちピンクやらハートが散乱してると思ったぜ。
「とりあえずいつもお世話になってますってことでねー。お納めくださいな。」
へへーといった感じにそのチョコレートを俺に突き出す。
「って、義理チョコかよ。」
一応突っ込んどく。
「当たり前じゃーん。なに?ぼーさん。あたしから本命チョコでもほしかったー?」
「んなわけねーだろ!こいつ!」
にひひーと笑う麻衣の頭をぐりぐりとなでてやる。
「きゃー!ぼーさんがいじめるー!!」
きゃははー!と笑いながら麻衣は同じく呼び出されたらしい綾子の背中に隠れる。
・・・俺は悪者か?
「よしよし。あんなのに引っかからないようにするのよー。」
「はーい。」
「・・・麻衣・・・遊んでないでお茶を入れてこい。」
「あ、はーい。」
綾子にすがり付いて冗談に思えない慰めを受けていた麻衣はナルちゃんに(微妙に)睨まれてお茶を入れに行った。
「・・・あんた・・・麻衣に手出すんじゃないわよ・・・。」
「・・・五月蝿い。」
綾子に言われて少々むっとする。
「・・・まぁ・・・麻衣のこと。狙ってるのはあんただけじゃないだろうけどね・・・。」
「・・・知ってる。」
わかってはいる。麻衣のことを狙ってるのは俺だけじゃないことくらい。
くるくると表情が変わって、自分が傷つくのがわかってて、それでも他人の心配をして。
俺たちのムードメーカーみたいなあいつは皆表に出さないだけで、俺たち男どもだけじゃない。
綾子や、いつも目の敵にしてる真砂子でさえ気に入っている。
・・・最近はさらに安原少年もあいつのこと気に入ってるみたいだ・・・。
「まー、あたしとしては。麻衣がよければいいんだけどねー。」
「・・・。」
「あのこが泣くようなことがあったら、丑の刻参りしてやる。」
「・・・。」
こいつが言うとなんか怖ぇよ・・・。つか、まじでやるな。こいつ。
「??どしたのー?」
「ん?なんでもないわー。」
麻衣がお茶を入れて戻ってきた。
しばらくするとジョンと真砂子もやってきた。・・・なぜか安原少年まで。
麻衣はやってきた三人にもチョコを渡していた。・・・やっぱ義理か。
「それでは、今回皆に集まってもらったことについて話そう。」
・・・はぁ・・・なんなんだかなぁ・・・。
俺はナルちゃんの話も半分上の空にそんなことを考えていた。
fin
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいー!!
お願い!石は投げないで!!
突発的に思いついたものなんで・・・!
麻衣は皆に可愛がられてればいいと思う(笑)。