満月の夜〜ハジマリ〜
ある里には伝説があった。その伝説とは里の隣の森に住む妖狐とその狐に捧げられた一人の美しい子供に関するものだった。その伝説はこうだ。
「昔、森には妖狐がすんでいた。最初は大人しくそれほど恐れられてはいなかった。
だがある日、里の若者が妖狐の妻と子を殺した。それをきっかけに妖狐は里に現れるようになった。
その妖狐は数千年の齢を経た狐が変化したもので里には太刀打ちできないほどの力を持っており、妖狐は里に現れては暴れ、里をめちゃくちゃにしていった。
あるときその代の里を治める、里では『火影』と呼ばれていた人がこういった。
『あの妖狐を倒そう』と。
その代の火影様はとても若く力も強く、皆に信頼されていたので里の衆は火影様に賛同した。
しかしいざ戦いを挑んでみると妖狐の力は強く火影様でも敵わなかった。
ぼろぼろになった火影様を前に妖狐はこういった。
『哀れだな。そんなに我を追い出したいか。貴様らは我ら狐一族の領域を荒らした。だから我らも
お前たちの領域を荒らしただけなのにな。
いいだろう。我らにここを荒らされたくなくば、我らの領域も荒らさぬと誓え。
その誓いの証拠にお前の子を我らに差し出せ。さすれば我ら狐一族。
ここに二度と現れぬと誓おう。貴様らがおぬしらの犠牲を忘れ、再び我らの領域・・・森を荒らさぬ限りは。
期限は・・・そうだな。三日後は満月だ。その晩、森の中心。鏡の泉に主と主の子。二人だけで来い。
他のものの気配が一瞬でもすれば・・・交渉は決裂だ。よいな。三日後。楽しみにしているぞ。』
そういって妖狐は姿を消した。その話を聞いていたものたちは皆反対した。
火影はこういった。悲しそうに。
『子の意見を聞かなくては』と。
そして火影の子はこういった。
『自分が犠牲になれば里の皆は救われる。それならば、自分は行く』と。
皆が反対する中、子は固い決意の瞳で幼い、まだ5つにもならない子が、父親の瞳をまっすぐと見据え応えた。
火影は
『お前がそれでいいのなら』と反対はしなかった。
三日後。二人は鏡の泉に佇んでいた。
すると森の中から狐の面をかぶり白装束で身を固めた一人の若者が現れた。
そして火影に向かってこういった。
『二人だけで参ったな。火影殿。いいだろう。子をこちらへ。』
子は自分から若者の元に向かった。
『これで交渉成立だ。そうだな。一生会えないというのもつらいだろう。・・・満月の夜、月が天上に現れ、沈むまで。これを条件にここで会わせてやろう。』
そういって若者と子は森の中に消えていった。
火影も自分の屋敷に帰った。
次の日から妖狐はもう姿を現さなくなり、里は平和になった。捧げられた子は里の守り神として祭られた。
それから何年経ったかはしらない。だが今でも満月の夜、森の鏡の泉には人恋しそうにその代の火影に似た金の髪の青い目のとても美しい人物がが現れると言う。
火影も代替わりし、今は綱手という女性が火影を勤めている。
火影はその伝説を語り継ぐ。妖狐は約束したと言う。
『この子を真に愛するものが現れたとき、そのときこの子はお前たちに帰そう。そのときまで
この子は殺された我のこの代わりに預かろうぞ。』
現れる火影の子は人の心を読む。
邪な心で近づけば子は悲しみ二度とそのものには姿を現さない。
傷つけたりはしない。ただ現れなくなる。
火影は待っている。伝説の火影の子を真に愛してくれる人物が現れることを・・・。
超パラレル(笑)。
かなり前に書いたものを引っ張り出してきて続きを書き始めたので内容がめちゃくちゃです(苦笑)。
でも最後はちゃんとハッピーエンドにしてあげたいです!