満月の夜〜ココカラ弐〜
次の日、なるとは白い衣からサスケの私服に着替え、火影の元へ向かった。道すがらナルトの鮮やかな金髪は人目についたが、隣を歩くサスケの『近づくな』オーラによって誰も近づいてはこなかった。
サスケとナルトは火影の前に立っていた。
「お前があの火影の子か。」
「ナルト・・・だってばよ。」
火影の射るような視線にナルトはサスケの服の裾をぎゅっと握り締めて縮こまる。
「そんなに怯えるな。別にとって喰おうってわけじゃない。サスケもそう睨むな。」
火影―綱手は表情を緩める。
「ま、お前のことは適当にあたしの遠い親戚の子どもとでもしとくよ。サスケ、このこのこと頼んだよ。」
「はい。」
火影邸を後にした二人はゆっくりと商店街を散歩する。やはりナルトの金の髪はいたるところで人目を引いていたが。
「今日はとりあえず家に帰ろう。明日から、里の中を案内してやるから、何処に行きたいか考えておけ。」
「うん!」
ナルトは太陽のようなまぶしい笑顔で答える。
そのときはまだ幸せだった。―これから起こる悲劇も知らずに―