満月の夜〜ウワサ〜
ナルトが里へやってきて二週間―半分ほどがすぎた。そのころ事件は起きた。
「サスケ君、あのウワサ聞いた?」
「ウワサ?」
「その様子じゃ知らないみたいね。」
サクラは、はぁ〜と息をついた。サスケは頭の上に?を乗せている。
「サスケ君のところにいるナルトってコ。」
「・・・ナルトがどうした。」
サスケの顔が険しくなる。
「・・・あのこ・・・『キツネのコ』ってウワサよ。」
「『キツネのコ』・・・?」
「えぇ。多分・・・サスケ君のファンが嫉妬かなんかで流してる話だと思うんだけど・・・あのこ綺麗だから・・・。」
「詳しく聞かせろ。」
サスケに詰め寄られて、サクラは巷でうわさされている話を語る。話を聞いたサスケは不安をおぼえ、きびすを帰して家へと駆け戻っていた。頭の中江サクラから聞いた話がぐるぐると回っていた。
『ウワサっていうのは・・・そのナルトってコが『キツネ』・・・あの森の九尾に捧げられたコだって話。里の平和のために捧げられたコが里に戻ってきた。あのコを里から追い出して、森に・・・九尾に返さなければ、また里に禍が起きる・・・だから・・・。』
―根も葉もないウワサ―
確かにナルトはあの”捧げられた子供”だ。だが、里に戻ってきたから禍が起こるなど馬鹿げている。ナルトは―九尾とナルトの意思で―里にやってきたのだ。バカバカしい。
だが、そのウワサを信じ、実行しようとするやからがいるのも事実。
ナルトには家から出るなとは言ってはあるが―サスケは急いで家へと戻った。