満月の夜〜ヒゲキ〜

「ナルト!」
サスケは急いで家に帰り、いつもナルトが使っている部屋へと駆け込んだ。
バン!と勢いよく音を立てて襖を開ける。
暗い、部屋の中で何かが身じろぎする気配がした。
「ナルト・・・?」
暗い部屋に目を凝らすと、部屋の隅のほうに金色が膝を抱えてうずくまっているのが確認できた。
「ナルト・・・。」
少々安堵の溜息を漏らし、サスケはナルトに近づく。
「ナルト。」
そっと肩に触れると、ビクッと怯えたようにナルトは肩をすくめる。そしておずおずと顔を上げたナルトのその瞳には明らかな恐れと不安と、そして恐怖が浮かんでいた。
「サ・・・スケ・・・?」
その名を確かめるようにナルトの口からサスケの名が零れ落ちる。それが呼び水になったかのように、ナルトの蒼い瞳からぽろぽろと大粒の涙が零れる。そしてサスケに抱きついて大声をあげて泣いた。
サスケはナルトのその尋常じゃない様子に部屋の中に改めて目を凝らす。
それに気づいたサスケは怒りがこみ上げてくるのを感じた。
部屋の中は荒らされていた。
あちこちに刀傷が付けられ、壁には手裏剣やクナイまで刺さっている。
庭に面する障子はずたずたに切り裂かれ、棚に飾られていた花を飾った花瓶は割れて床に散らばっている。
そして、よく見れば、ナルト自身も着ている服は切り裂かれ、ぼろぼろになり、白い肌があらわになっている。
「ナルト・・・何があった?」
腕の中で泣きじゃくるナルトに、サスケは怒りを抑えながら訊ねる。
「お・・・俺ってば・・・やっぱり森から出ちゃいけなかったんだってば・・・!!」
「ナルト?」
「お前は禍の子だ・・・って・・・!森に帰れって・・・里に禍をもたらすって・・・!!」
血を吐くような悲しい叫び。サスケはさらに怒りがこみ上げてくるのを感じた。
「そんなことはない!!」
「・・・サスケ・・・。」
「お前はただ、この里を守るために、森にいただけ!!禍なんてあるはずがない!」
「・・・!サスケ・・・!!」
二人はしっかりと互いを確かめるように抱き合い、涙を流した。

やっぱりサスケが偽者・・・!(ゴフ
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