満月の夜〜サイゴノトキ壱〜
それから二週間。サスケはナルトのそばから一時も離れようとしなかった。家の中でも、外へ買い物へ行くときも、片時も。
「・・・サスケ君・・・眉間の皺がすごいわよ・・・。」
たまに様子を見に来る、ナルトが心を許している数少ない友達の一人であるサクラがお茶を用意してきたサスケの眉間にビシッと音を立てる勢いで指を立てる。
「〜・・・!」
「サ・・・サクラちゃん・・・。」
「そんなに怖い顔しないの。あと一日でしょ。今日乗り切ればとりあえずナルトは里にいられるんだから。その後はみんなでなんとかすればいいんだから。」
「・・・あぁ。」
サクラに諭され、サスケは少しだけ眉間の皺を緩める。
「ナルトのこと、大好きなのはサスケ君だけじゃないんだから。」
そう言って、ギューッとナルトを抱きしめる。
「サクラちゃん・・・。」
少し恥ずかしそうに、でも嬉しそうにうつむく。
「みんな、ナルトにはこの里に残ってほしいんだもん。そのためだったら何でもするわ!」
「ありがとうだってばよ。」
ガッツポーズをするサクラの腕の中で本当に嬉しそうに、にへらと笑うナルト。
「あーんvvもー!かわいーv」
その笑顔に再びナルトを抱きしめる。それを見つめるサスケはちょっとジェラシー(笑)。
ほのぼのとした時間が流れる中、全員の心の中には不安が渦巻いていた。