満月の夜〜サイゴノトキ弐〜
―満月が頂点に達するまであと一時間―
サスケの家にはナルトが里に残ることを願う人々―サスケはもちろん、サクラや火影である綱手、そのほかにもナルトと友達となった子供達が集まっていた。
「ナルト君・・・帰らないよね・・・?」
「大丈夫!なー赤丸!」
「ワン!」
「俺達が守ってやる。」
「あたしだって!」
「めんどくせーが、しかたねーよな。」
「僕、ナルトとお菓子食べるの好きだから、帰らないで欲しいなー。モグモグ。」
「・・・みんな・・・ありがとうだってばよ。」
口々に言う子供達の言葉に申し訳なさそうに、ナルトは微笑む。
「ちょっとー!ナルトのこと好きなのはあたしもなんだからねー!」
ギューッと横からサクラがナルトを抱きしめる。
「ちょっとー!ナルトから離れなさいよー!デコデコデコリーン!」
「うっさいわねー!ナルトはあんたになんかやらないんだから!イノブタ!」
「・・・おまえらいい加減にしろよ・・・。」
「あはは。二人とも仲いいってばよ。」
いつものサクラとイノの言い合いにサスケが突っ込み、ナルトはサクラに抱きしめられたままその様子を微笑ましそうに見ている。
「サスケ。」
「ん?」
ふっとナルトは真顔になり、サクラの腕の中でサスケを見る。
「俺を見つけてくれて、俺をここに連れてきてくれて、ありがとう。本当に俺、幸せだったってばよ。」
にっこりと、寂しそうにナルトは笑う。
「『だった』じゃない。これからも、みんなで幸せになるんだ。そんな最後みたいに言うな。」
綱手が言う。
「うん・・・。ありがとうだってばよ。」
それでも、ナルトの寂しそうな笑顔は消えない。