キミが生まれた日
十月十日。ナルトはその一日家にこもる。里の慰霊祭であり、ナルトの誕生日。
誰も祝ってくれる人もいない。
外なんかに出れば、石を投げられ、暴力を振るわれ、罵声を浴びせられる。
だったら、外なんか、出ないほうがいい。
そして、今年もやってきた。『十月十日』という忌むべき日。
ナルトは今年もいつものように家に篭る。
ベッドの上で布団に包まり、遠くから聞こえる喧騒を耳にいれるまいとする。
コンコン
誰かが戸をたたく音。誰だろう。こんな日にナルトを尋ねてくるような人物はいない。
いるとすれば、ナルトに暴力や罵声を与えるものばかり。
―だからナルトは無視をする―
コンコン
まだいる。ナルトは更に体を縮める。すると、
「ナルトー!ちょっとー開けなさいよ。居るんでしょ!」
「サクラちゃん!?」
聞き知った声。ナルトは驚いて布団から飛び出し扉を開ける。
「なんだ。やっぱり居るんじゃない。早く開けなさいよね。」
そこにはにこにこと満面の笑みを浮かべたチームメイト。
「サクラちゃん?なんでここにいるってば?」
「あたしだけじゃないわよ。サスケ君とカカシ先生とイルカ先生も居るわよーv」
と、後ろを指すサクラ。そこにはサスケ、カカシ、イルカの三人。
「ほえ?」
ナルトは本当に何事かといった顔をする。
「何ほーけてんのよ。迎えに来たの!行くわよ!ナルト!」
サクラはナルトの腕を引っ張る。
「え?待ってってばサクラちゃん!」
ナルトは慌ててサクラの手を振り払い、怯えた様子で一歩後ずさる。
「どーしたのよー!」
サクラはわけがわからないと言うように首をかしげる。
「だって・・・俺ってば・・・今日は外に出れないってばよ・・・。」
ナルトは俯く。
「大丈夫。」
「へ?」
謎の自信を示すのはいつもの何を考えているのかわからない笑顔のカカシ。
「ナルトだって、わからないようにすればいいんデショ?」
あー・・・なんかよからぬこと考えてる。
「じゃーん☆」
「は?」
呆気に取られるナルト。それもそのはず。カカシが持っているのは黄色いワンピース。ついでに赤い靴(もち女物)とメイクボックス。
「春野サクラ君。」
「はい?」
「よろしくv」
ポン。
カカシはサクラにワンピースその他もろもろを渡す。サクラの脳内はその渡されたものの意味を解析し始める。・・・。ピコン(古)
「りょーかいしましたー♪」
サクラ、すごく楽しそうです。
「ナルト!」
「はいー!」
怯えてる怯えてる。
ガシ。
サクラ、ナルトを捕獲。
「よっしゃー!メルヘンゲットー!!」
「ぎゃー!」
バタン。
本日。内なるサクラは絶好調デス☆
「カカシさん?」
今まで黙っていたイルカが口を開いた。その顔には青筋が立っている。
「ん?なんですかー?イルカセンセ。」
カカシもいつもの(胡散臭い)笑顔で迎え撃つ(笑)
「どうしたんですか?あれ。」
『あれ』というのはもちろんワンピースその他もろもろのこと。
「あれですか?ナルト専用変装(女装又はコスプレと言う)セットv」
あ、イルカの青筋が増えた。
「カカシ・・・てめぇ、ナルトに手ぇ出したら・・・殺ス。」
サスケ参戦☆イルカと共に背後に黒いチャクラが漂っている。
「「「フフフ・・・。」」」
・・・怖いデス・・・。
そして待つこと三十分。
ガチャ。
「じゃぁ〜ん♪お披露目〜☆」
一瞬にして黒いチャクラが掻き消えた。変わり身早。
「ほらナルト!」
「サ・・・サクラちゃん・・・恥ずかしいってばよ///」
「「「!」」」
サスケ・カカシ・イルカの三人はフリーズした。
それもそのはず。サクラに引っ張られて出てきたナルトは・・・
『美☆少女』という言葉がぴったりであった。
いつも四方八方にはねている髪は綺麗に梳かされストレート。カカシに渡されたワンピースもぴったりで、更に白いレースのカーディガン。足元も赤い靴で、顔には薄くメイクが施されている。
「テーマは『ひまわり畑のお嬢様』vv」
テーマってなんですか(←作者突っ込み)
「さっすがサクラvv」
「ナルト・・・おまえ似合い過ぎ・・・。」
「ふん・・・ウスラトンカチ///」
やっぱ三者三様です。
「さ!」
ガシ。
再びサクラはナルトを捕獲。
「れっつごー!しゃぁーんなろー!」
「わー!!(泣)」
本日内なるサクラ大暴走デス。
IN火影邸
ナルト達は火影邸会議室(そんなものあるのか?)の前に立っていた。
「・・・着替えちゃ駄目だってば?(半泣)」
「「「「ダメ(だ)」」」
全員に却下された。
「うー(泣)」
ナルトは涙目になりながら扉をにらむ。中にはなんだか知っている気配が一杯ある。
そして意を決したように恐る恐る扉を開けると・・・。
「お誕生日おめでとう!ナルト!!」
ぱーん!
「わ!」
沢山の声と共に、四方八方からのクラッカー攻撃(笑)にナルトは驚いて顔を覆う。
そして、紙ふぶきがやんだとたん、そこにいた全員が息を呑んだ。
「・・・ナ・・・ナルト君・・・キレイ・・・///」
「・・・///(コクコク)」
「まぢ?」
「ワン!」
「・・・あたしより美人だわ・・・。」
「うっわーナルトのくせにかわいいー。」
「もぐもぐ。」
「・・・メンドクセー///」
「嘘だ・・・。」(ポロ←煙草が落ちた)
「ナルト君!素敵です!///」(謎のガッツポーズ)
「か〜わい〜vv」
「・・・フン・・・///」
「青春だー!!(号泣/謎)」
「・・・(言葉が出ない)」
「わーvvナルト君かわいいですーvv」
「ぶひー。」
どれが誰の台詞かはお分かりでしょう。
「ナルト!」
「はいー!(怯)」
「火影命令。今日一日その格好だ。」
「えー!(泣)」
はい。綱手の火影命令により、今日一日ナルトの『お嬢様ルック』決定。
「あ・・・でもばーちゃん・・・。」
「ばーちゃん言うな。」
綱手の突っ込み。それでもナルトはめげない。
「今日は慰霊祭なのに、こんなところいてもいいってば・・・?」
コテンと首をかしげる。
(かわいい・・・v)
とかなんとか数名が心の中で思ったことは置いといて。綱手はにっこりと笑う。
「いいんだよ。皆、お前の誕生日を祝ってやりたいんだ。」
「で・・・でも・・・。」
「いーから黙って祝われてな!ぐだぐだ言わない!」
バシ!
「ギャ!」
綱手のデコピン攻撃。ナルト額に五十のダメージ(デコから煙出てます)
ナルトは額をさすりながら皆を見る。皆、笑顔で頷いている。
もう一度綱手を見ると、やっぱり笑顔で頷く。
「な?」
綱手が言う。ナルトはやっと安心した笑顔になり
「皆ありがとうだってばよ!」
そこにいた全員を赤面させた(やっぱ天然)
「ナルト。」
「ばーちゃん。」
夜。ナルトの誕生日パーティはお開きになり、皆が帰ったあと。ナルトは火影邸のベランダに立って風を受けていた。金色の髪がさらさらと風になびく。
「俺ってばすっごく幸せ!」
綱手に向かってにぱっと幼く笑う。
「こんなに幸せな誕生日、生まれて初めてだってばよ。」
へへっと少し照れくさそうに言う。
「そうさ。あんたは幸せだよ。皆あんたが大好きだからね。」
くしゃくしゃと綱手はナルトの頭をなでる。
「もちろんあたしもね。」
「・・・うん!」
その後。ナルトが家に帰ると、山のようなプレゼントが届いていたとか。
「ありがとうだってばよ・・・皆・・・。」
こんぐらっちれーしょん♪
fin
ナルトはっぴぃばぁすでぃvv
さてココで問題です。闇猫は何がしたかったんでしょう?(知るか!)
ただ単にナルトの誕生日を皆で祝ってあげたかったのと
ナルトに女装させたかっただけだったりしてぇ・・・(爆)