一抜けた

それはナルトの爆弾発言から始まった。

「やー悪い悪い。今日は黒猫の大群に目の前を横切られてねー。」
「はい!ウシャ!
カン!
今日も今日とて五時間もの遅刻のカカシ。バレバレな言い訳にサクラが突っ込みを入れようとした瞬間、何かが脇を通り抜けた。その”何か”のほうに視線を向ければ、カカシの後にある木にクナイが刺さっている。そしてその前に立っているカカシの頬には赤い筋が一本。
・・・ウゼェ・・・。
ピシィ
空気が、固まった。
全員で一斉に声のしたほうを振り向いた。そりゃもう錆びたロボットが一生懸命首をまわすような勢いで。ギギギ・・・というような音がしそうだ。
視線の先にいたのはなんかもう超がつく勢いで不機嫌オーラと殺気交じりのチャクラを垂れ流しにしているナルト。
え?何?何が起きたの?
カカシもサクラも(喋ってないけど)サスケも顔だけは笑顔なのに目が笑ってないナルトを凝視している。
「・・・おい・・・ウスラトンカ「アア゛?
ビクゥ!
地の底から這い上がるようなドスの効いた声で返されれば誰だってフリーズするって。固まらない人の方が凄いって。
「・・・ねぇ・・・本当に・・・ナルト・・・よね?」
「他に誰に見える?」
「・・・うーん・・・チャクラの感じもナルトなんだけど・・・もしかして今まで猫被ってたの?」
「まぁね。理由はカカシ先生がったらわかるでしょ?」
にーっこり。未だに笑顔で殺気交じりのチャクラを垂れ流すナルトにカカシは顔をしかめ、沈黙する。
「おーい、ナルトー。」
天の助け
向こうから今日は任務が無かったのか、シカマルがヒラヒラと手を振りながらこちらへ向ってくる。その姿を捉えると、今までのピリピリとしていた空気がいっぺんに吹き飛び、ナルトは満面の笑みを浮かべる。
「おー、シカマル。今日は表休みか?」
「ああ。ってーかお前『ドベ』やめたのか?」
「おうよ。だってさー、こっちは裏の任務で夜遅くて何日も寝不足だっつーのに、そこの駄目上忍のせいで表は表でストレス溜まるしでいい加減にしろっつーんだよ。」
ザックリ バッサリ
さっきまでのシリアスムードは何処へやら。『駄目上忍』ことカカシはナルトの容赦ない言葉とサスケとサクラ、さらにはシカマルからの視線にさらされて凹んだ。
「これで『ドベ』の仮面なんか被り続けてたらいつ爆発すっかわかんねーもん。だからやめた。」
「あー、なるほどな。で、今日は終ったのか?表。」
ナルトの愚痴を涼しい顔で聞いているシカマルにサスケもサクラもちょっとジェラシーを感じつつ、二人の会話を聞いている。・・・っていうか爆発したらどうなるんだ・・・とか恐ろしくて聞けない。むしろ聞いちゃいけない気がする。
「終ってねーよ。バカカシが今来たとこだぜ?五時間の遅刻。」
「げ。カカシ上忍ー。いい加減その遅刻癖どうにかしましょうよ。ナルトが機嫌悪いと俺にとばっちり来るんすよ。メンドクセー。」
「えー。じっちゃんに頼んで(基脅して)一日休みにしてもらって抱きつくの、迷惑か?」
「「「抱きつく?!」」」
ナルトの爆弾発言第二段。もうショックを受けまくっている面々とは裏腹にシカマルは「別にそういうわけじゃねーけど。メンドクセー。」とか言ってる。
「・・・ってうか本当あんた達なんなのよ。説明ぐらいしてくれたっていいでしょ!」
頑張った!サクラ!
「あ?あーうん。まーな。俺もナルトも暗部なわけよ。ナルトなんか三歳で暗部入りだもんな。」
「シカマルだって五歳で暗部来たじゃねーか。で、俺とシカマルはコンビ組んで任務をしてる同僚ってこと。」
「ついでにナルトは俺んだからな。手ぇ出すなよ。メンドクセーから。」
「な!///」
「だってもういいんだろう。だったら牽制しとこうと思ってな。」
チュ
にやりと笑ってナルトの額にキスをするシカマルとそれに顔を真っ赤にするナルト。それを目撃した三人は「こいつ確信犯だ・・・!」とか思ったとか思わなかったとか。
「ま、それは置いといて。さっさと表終らせて来いよ。今日も裏あんだし。」
「あーそうだなーおいバカカ「ナ、ナルトはもう帰って休んで!!あとはあたしたちでやるから!
ナルトの言葉を思いっきり遮ってサクラが慌てたように叫ぶ。ナルトは気づいていない。シカマルが「早くナルトを解放しやがれ・・・」と物凄い殺気交じりの視線を向けていたことを。
「そ、そうだな。ナルト。暗部の仕事もあるんならおまえは帰れ。俺たちだけで大丈夫だ。な!カカシ!」
「え!?あ!うん!!いいよ、ナルトは帰って早く休んで、ね!」
超☆必死♪
だってまだ死にたくない・・・!!
それが三人の本音だ。ナルトの機嫌を損ねたらナルトだけじゃない。シカマルからも報復が・・・!恐ろしい・・・!そんな三人の様子にナルトは首を傾げつつもどうしようとシカマルを見上げる。
「いいんじゃね。こいつらがいいって言ってんだ。帰って休め。」
「ん。じゃー俺帰るわー。」
シカマルに促されて一瞬にしてナルトは姿を消す。シカマルもその後を追い、姿を消すと、残された三人は大きくため息をついた。
「・・・とりあえず、今日の任務は草むしりだよー・・・。」
「・・・はーい・・・。」
「・・・おう・・・。」

次の日から。『ドベ』を演じることをやめたナルトの傍には常にシカマルの姿が見られるようになった。

99999hitキリリクで「スレシカスレナルでバレネタギャグ」というリクエストだったのですが・・・スレシカスレナルになってますでしょうか?
ギャグ・・・?バレネタっていうかバラシネタ(爆)。シカマルが必要以上に黒くなってしまった・・・!
このようなもので宜しければお納めください・・・!リクエストありがとうございました!
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