狐の嫁入り〜一回休み〜
連続で三人との見合いをし、ナルトはかなり疲れていた。
今日はさすがに見合いもその他の予定も無くのんびりと森の奥にある見晴らしのいい丘の上で風を受けていた。
「・・・後二人・・・。」
あとの二人も知っている。知っているからこそ頭がイタイ。
「なんだって俺なんかと見合いなんかしたがるんだ・・・?」
自分の容姿にまったく持って興味の無いナルトは首をかしげる。
金色の美しい髪、澄み切った空のように蒼い瞳。そして整った顔。さらに頭脳明晰で森長の息子となればよってくるのは男女問わず。ただし、そのほとんどがサスケとカカシによって撃退されているため、その思いが本人まで届くことはほぼ皆無。そんな環境にあるナルトが周囲の思いに気づくことがあるはずも無くて。
「・・・ま、いっか。」
考えることをやめて、のんびりと空を眺める。
しばらくしてうとうとし始めたころ。
ドドドドドドドド
地響きが。
「(・・・やな予感・・・。)」
眠気を振り払うように音のするほうを振り向けば、
「「ナルト――――――!」」
「・・・でた。」
ものすごい勢いで突っ込んでくる黒と銀色。その姿にナルトはあからさまにいやな顔をしてみた。
「「ナルト―――――ズベ
勢いのままに抱きついてこようとする二人にナルトは直前でひょいっと近くの木の上に避難。突っ込んできた二人はというとまぁ、お約束。
「・・・ナイスずっこけっぷりをありがとう。」
太い木の枝に腰掛け、顔面から突っ込んで行った二人を呆れたように見下ろす。そのまま勢いをつけて倒れている二人の上に、
「とう。」
「「ぐふぅっ!」」
10点。
おもいっきり踏みつける。なぜかナルトの表情はすばらしく清清しい。
「ナ・・・ナルト・・・。」
「ひどいよ・・・ナルト・・・俺たち恋人同士だよねー・・・?」
「「誰がだ。」」
ナルトとサスケの声がきれいにハモった。ざっくりとナルトに切り捨てられ、体育座りでのの字を書き始めるカカシ。まじめにウザイ。
「そんなことよりナルト、おまえ見合いしたって聞いたぞ。」
「そーだよ!!俺というものがありながらぁ―――!!」
「うるさい。」
「ぐふ。」
騒ぎ出したカカシを拳で黙らせる。
「あー・・・まぁな。母さんに無理矢理な・・・。」
ちょっと遠い目。
「誰!?」
「・・・近い。近いから離れろ。そして今にも殺しに行きそうな殺気を飛ばすのをやめろ。お前たちが行ったところであいつら相手じゃ返り討ちにあうのが落ちだ。」
復活したカカシに迫られて数歩後ずさる。しぶしぶと言った感じで離れたカカシに盛大なため息をひとつ。それでもまだあきらめ切れないカカシとカカシほどではないにしろ殺気を垂れ流しているサスケ。
「とにかく、お前ら帰れ。俺は連続で見合いさせられて精神的に疲れてるんだ。休ませろ。」
「じゃぁ俺が膝枕して「いらん。」
ざっくり
しくしくといじけ始めるカカシはスルー。
「サスケ、お前も帰れ。」
「・・・そんなに疲れるんなら逃げればいいじゃねぇか。」
「・・・そんなことしたら母さんが怖ぇの知ってんだろう。」
遠い目。サスケもそれを知っているため、眉間に皺を寄せる。
「つーわけだから一人にしてくれ。」
「わかった。」
「あ、それもついでに持ってってくれ。」
カカシをそれよばわり(酷)して指差すと(人を指差しちゃいけません)、サスケも了解したというように頷いて、未だいじいじといじけ続けるカカシの襟首をつかみ、引きずりながらその場を後にした。
サスケとカカシがいなくなると、ナルト大きく息を吐き、その場にどさっと音を立てて仰向けに倒れこむ。空は自分の瞳と同じ澄んだ蒼。
「・・・なんで俺がこんなに苦労しなくちゃいけないんだ・・・?」
優しい風に吹かれながら呟く。だがすぐに考えるのを止めた。考えても意味が無いな。そう思った。
しばらくそうしていたあと、むくっと起き上がると吹っ切れたように立ち上がる。
「・・・・・・帰ろ。」
そう呟いて、ナルトは家へと戻った。
戻ったナルトにミナトがいきなり抱きつこうとして逆に返り討ちにあったりしていた。
一回休み。サスケとカカシはすとーかー(爆)。
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