退化!大☆騒動
「なぁ、シカマル。」
「・・・なんだ。」
「なんで俺・・・小さくなってるんだ?」
「しらね〜よ。」
だいぶ暖かくなってきた三月。その日の朝はそんな会話から始まった。
事の発端はナルトの絶叫。目が覚めて顔を洗おうと洗面所に向かうが手が届かない。
おかしいと思いながらも何とか鏡を覗き込むと、そこには五歳くらいの子供の姿。ナルトは一瞬思考が停止した。が。
「ぎゃーーーー!」
思いっきり絶叫し、そして今に至る。
ちなみにここは死の森。あの後即行で身支度を整えたナルトは暗部でのパートナーであるシカマルを呼び出し、意見を聞こうとココにいた。
「しらね〜よじゃねぇよ。ど〜すんだよ。こんなんじゃ下忍の任務に出られないぜ。暗部は出来るかも知れねぇけど。」
普通逆だろ。とシカマルは思ったがあえて突っ込まない(突っ込んだら殺される)
「めんどくせ〜。九尾のせいかなんかじゃねぇの?・・・俺に聞くよりさ。火影んとこ行った方がよくねぇか?」
ぽん。
「シカマルな〜いす!」
大袈裟である。
「「かわいい〜vv」」
火影の執務室に入っての第一声はそれだった。
「かわいいじゃねぇよ!」
今にも飛びつきそうな五代目火影・綱手と、側近であるシズネに向かって大量の殺気を放つ。
その殺気に二人とも一瞬動作が止まる。それを満足そうに見るとナルトは火影をしっかりと見据える。
「この状態をどう思う?」
「かわいい。」
「殺すよ?」
殺気が部屋に充満する。
「・・・ナルト・・・殺気を飛ばすな。こっちがこえ〜よ。」
シカマルの一言は強かった。一瞬にして殺気が消える。
「わり。で。まじめに答えろ。どうよ?」
『まじめに答えないと殺す☆』
目がそういっている。
「わかったから。目で殺気を送るな。・・・おそらくシカマルも考えているだろうが、九尾の影響だろうな。
なぜかはしらんが。九尾のせいなら時間がたてば元に戻るだろう。その間、任務に支障はないだろう。」
そういう綱手にナルトはチャクラを練ってみる。
「・・・あぁ。チャクラも練れる。問題は・・・あった・・・。」
「なんだ?」
頭を抱えるナルトに綱手は不思議そうに尋ねる。
「うちの変態上忍。」
(((なるほど)))
納得。
「あいつうぜぇんだよ。殺していい?」
マジでやりそうだ。
「・・・それはやめとけ。仕方ない。ナルトのフォローが出来るようにしばらく合同任務にして置いてやるよ。三班合同な。暗部のほうは大丈夫だな。」
「あぁ。暗部は問題ない。合同・・・その方がありがたいかもしれないなぁ・・・。さんきゅーばっちゃん。」
そう言うとナルトとシカマルは消えていた。
「・・・もうちょっと大人しかったらもっと可愛いんだけどねぇ。」
そんな独り言を聞いたのはシズネだけだった。
「かわいい〜v」
「・・・ウスラトンカチ・・・?」
集合場所に着いたとき。すでにサクラとサスケは到着していた。
そしてナルトの気配を感じ取り、振り向いたとたんの第一声がコレだった。
サクラは目をキラキラさせ、サスケは・・・なぜか木のそばで蹲っている。
「ど〜したのよナルト。なんでちじんでんの?」
サクラの問いかけにいつもの”ドベ”の仮面をかぶるナルトは首をかしげる。
「ん〜、わかんないんだってばよ。朝起きたらこうなってたんだってば。」
体に合わない少し大きめの服を持ち上げてへにゃっと首をかしげるナルトは『愛らしい』の一言に尽きる。
「いっや〜んvvかわいすぎ〜vv」
(うぜぇ。)
ナルトがそんなことを思っているとは露知らず。サクラはナルトを抱きしめている。女の特権である。
そして三時間後。いつものよーにカカシが遅れて登場した。すると。
「ナルトーーーーーーーー!」
本日は遅刻の言い訳なし。いきなりナルトに駆け寄ってきた。目がハートである。
だが。寸前のところでクナイがいろんなところから飛んできた。そのうち二本はサクラとサスケがものすごい気負いで殺気を送っているので間違いなくこの二人だろう。
他のものはどこから・・・と周りを見回せば他の半の面々までもがすごい勢いで殺気を放っている。もちろんその中にシカマルも含まれる。
「あらあら。皆そんなもの一斉に投げたら危ないでショ?」
「お前がナルトにセクハラまがいのことするからだろ。」
「しかも何?この遅刻の時間は。」
それぞれの担当上忍が答える。
「あれ?なんで皆いるんだってばよ?」
ナルトが首をかしげる。小動物並みのかわいさだ。
「かわいいわ・・・ナルト・・・。今日は合同任務に変更らしいわ・・・。理由は・・・多分ナルトね。」
答えたのは紅。
「だな。とりあえず任務場所へ移動だ。今日は草むしりだそうだぞ。」
アスマはそういってひょいとナルトを抱えあげる。
「アスマ先生!?何するんだってばよ?!」
アスマの腕の中でナルトがもがく。
「いーからおとなしくしてろ〜。」
そういって一行は任務場所へと向かった。
もうその日は大変としか言いようがなかった。ものすごい勢いで伸び放題の草むらの草むしり(しかも範囲がめちゃくちゃ広い)『草むしり』だけならよかった。しかし。
ナルトが草の中に埋もれる。
終わりの時点でナルトはすでに28回ほど草むらの中から掘り出されていた。
「・・・おわったってばよ〜・・・。」
へろへろと木に寄りかかるナルト。周りを見れば、他の面々の疲れは吹っ飛んだらしい。
「ナ〜ルトvvじゃ、先生とラーメン食べて帰ろうかv」
明らかに邪なオーラと笑顔を振りまきカカシがナルトに擦り寄る。・・・例のごとくいろいろな方向からクナイが飛んできたが。
「ん〜・・・今日はいいってばよ。シカマル〜帰ろってばよ〜。」
笑顔でシカマルに擦り寄るナルト。シカマルは背中に多数の殺気を感じた。
「あ゛〜かったり〜。」
家に着くなりナルトは”ドベ”の仮面をはずす。
「おまえな〜・・・。って、文句言っても仕方ねぇか。」
あきれた様子でシカマルもため息をつく。
「そ〜そ〜。ったく。早くもともどんねぇかなぁ。」
「・・・俺も早く戻ってくんねぇと、他のやつらの視線がいてぇよ。」
「は?」
鈍感なのは本当に天然らしい。
「ま、しばらくは俺がフォローだな。」
「そ言うこと。暗部のほうは問題ねぇから心配すんな。」
「してねぇよ。」
二人で笑顔をかわす。
「さてと。」
そう言ってナルトは立ち上がりキッチンへと小走りで向かう。
「?なにしてんだ〜?」
シカマルが尋ねると以外にも。
「飯作る。」
と言う答えが返ってきた。
シカマルはふっと息を吐くと立ち上がりナルトを抱えダイニングの椅子に腰掛けさせる。
「?」
「今日は俺が作ってやるよ。慣れない体で疲れてんだろ?」
「シカマル料理なんかできんの?」
「・・・一応はな。」
一時間後、シカマルが作った食事をナルトが驚きながら食べている姿があった。
それから一週間ほどでナルトは元の姿に戻った。回りの面々は少々残念そうだったが当の本人とシカマルは大喜びだった。
そして、
「さ・て・と☆俺様のストレスの原因となった奴にはお仕置きだよなv」
ナルトが元に戻った次の日。ナルトが小さくなってしまった一週間の間、ナルトにセクハラをし続け、
ナルトに多大なるストレスを与え続けたカカシが瀕死の状態で病院に担ぎ込まれたことは言うまでもない。
―教訓・触らぬナルトに祟りなし―
fin
強いナルトは好きです。暗部のナルトは大好きです。
やっぱ暗部ナルトのパートナーはシカマルだよね。