オオゾラのうた act10
そのまま眠ってしまい、目が覚めたのは次の日の、もうすぐ日が落ちるという頃で。ツナは顔を洗って身支度を整えると両親と共に病院へ向かった。太陽の下に出歩くことを許されないツナのために診療をしてくれる並盛病院のシャマルの元へ行くと、今のところは問題ないという診断を下される。
「ねぇ・・・シャマル・・・。」
「ん?」
「俺は・・・いつまで歌えるかな・・・。」
少し悲しそうに、寂しそうにつぶやくツナの姿にシャマルの眉間に皺がよる。
「何言ってやがんだ。ツナちゃんはそんなこと考えてないで、好きなことをしてすごしてればいいんだよ。」
そう言ってくしゃくしゃと子供にするように頭をなでるシャマルに、ツナも少しだけ、笑顔がこぼれる。
「・・・うん。俺、がんばる。」
家に戻るとツナは部屋にこもってギターを取り出す。楽器を扱う自分のために両親が防音仕様にしてくれた部屋でギターをかき鳴らす。
「・・・っ!」
そして急に手を止める、いや、止まった。その手はこわばり、小刻みに震えている。その手を逆の手で握り締め、表情をゆがめる。そのままギターを放り出すとベッドにもぐりこむ。中からは小さく、泣く声が聞こえていた。
主治医はシャマルで。でもちゃんとした出番はこれだけ(爆)。