オオゾラのうた act15

そしてレコーディング当日。スタジオにはツナと、演奏を担当するスタッフのほかにスクアーロ、ツナの両親、ハル、そしてなぜか山本もいたりする。なんでいるんだとかその辺は発案者特権ということにしよう。この見学権を争って血で血を洗う争い(ある意味比喩ではなく)が起こったのは・・・まぁスルーしておこう(え)。

「それではレコーディングはじめまーす。」
「はい、よろしくお願いします。」
事前に渡してあった楽譜に目を通していたスタッフが声をかけるとツナはヘッドホンをつけてマイクに向かう。レコーディングが始まる。
澄んだ美しい歌声が響く。その歌声に自然と涙がこぼれてくる。
そしてレコーディングが終わってブースから出てくるとまたぼろぼろ涙を流している面々にツナは一瞬ぎょっとして一歩下がってしまった。ある意味当然の行動だろう。
「ど・・・どうしt「ツナ・・・。」
恐る恐る声をかけるとそのままスクアーロに抱きしめられた。
「・・・どうしたの・・・スクアーロ・・・。」
スクアーロはますます、力一杯ツナを抱きしめるだけで答えは返ってこない。
それはまるでツナがどこかに消えてしまうのではないかと、それを引き止めるかのようで。
「・・・えーと、と、とりあえず・・・ありがとうございました。」
「はい。出来上がったものはご自宅に郵送させていただきます。」
スタッフに声をかけてスタジオを後にする。さすがにスクアーロもツナを開放しはしたが手はしっかりと握ったまま。家に辿り着くまでその手が離されることはなかった。

それからも出来るだけの時間をツナとスクアーロは共にすごすようになった。それは残された時間を惜しむかのように。

「わっ!」
「ツナ!」
最近、だんだん体が動かなくなってきたツナは本当に何もないところで転ぶようになって、一緒にいるスクアーロは目が離せなくなっていた。

そして、そんな日々も、やがて崩れ落ちる。

スクが偽者・・・!
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