オオゾラのうた act16
ツナの足が、完全に動かなくなった。
その知らせをハルから聞いたスクアーロはまだこの後も授業があるというのにも関わらず飛び出していきそうになったのをハルがタックルをかまして止めた。
そして、授業が終わると同時に飛び出すように駆け出した。
「ツナ!」
ツナの両親への挨拶もそこそこに勢いよくツナの部屋へと駆け上がり扉を開けると既にツナは身支度を整えてベッドに腰掛けていた。
「あれ、スクアーロ。早かったね。」
そんないつもと変わらないツナの様子に脱力しかけるがすぐに立ち直る。
「ツナ・・・お前足は・・・。」
「あぁ・・・ハルから聞いたんだ。うん、もう、動かない。感覚も・・・ほとんどないや。」
だからもう一緒に出かけられないね。
と、申し訳なさそうに笑うツナを、スクアーロは抱きしめる。
「・・・スクー、最近スキンシップ激しいよー(苦笑)。」
くすくすと笑いながらスクアーロのサラサラとした綺麗な長い髪を梳く。
「・・・ねぇ・・・スクアーロ。」
「なんだぁ?」
「俺、スクアーロがサーフィンしてるとこ、見てみたいなぁ。」
ツナのその言葉にスクアーロは目を見開く。
それは、太陽の下に出るということを示している。
「大丈夫だよ。ちゃんと、遮断スーツ着れば外に出ちゃいけないことはないんだよ、俺。」
だからそんな顔しないでよ。
そう言って視線を移した先には壁にかけられた、まだ一度も袖を通したことのない紫外線遮断スーツ。そのしたには車椅子がたたまれている。
「ね、大丈夫だよ。」
その笑顔が今にも消え去ってしまいそうに儚くて、スクアーロはもう一度ツナを抱きしめた。
スクが偽者・・・!(二回目)。