その死すら愛おしく
どぉん!
物凄い破壊音と共に異形の化物―屍―の額に綱吉の拳が打ち込まれる。と同時に、屍は内部から爆発し、消滅。
それを確認し、ほっと息をつくと向こうでそれを見守っていたザンザスは無表情にこちらに歩み寄ってくる。
「ザンザス。終わったよ。」
「・・・。」
「ザンザス?」
無言で自分を見下ろしてくるザンザスに綱吉は何かヘマをやらかしただろうかと首をかしげる。が、いきなり抱きしめられた。
「え?ザンザス?どうした「馬鹿かお前は。」へ?」
馬鹿と言われても何のことか分からないと、あまり回転のよくない思考回路をぐるぐるとフル稼働させていると、
スゥ・・・
「あ・・・。」
先ほどの屍との戦いで腕や頬、足、脇腹に負った傷が癒えていく感じがする。
ああ、そういうことか。
「えっと、心配してくれたんだ?」
えへへ、と少しはにかむように笑えば、ザンザスの額に皺が寄る。そして癒えかけの頬の傷を不意に舐められる。
「ふえ?!」
「ったく、毎回毎回傷作りやがって。」
「へーきだよ。ザンザスがいればすぐに治るんだから。それに、」
俺はもう死んでるんだよ?
小さな切り傷ばかりだったため、傷が癒えきるまでそう時間はかからず、ザンザスの腕から離れる。身長差のために見上げれば、少しだけ、悲しそうな瞳とぶつかる。
「・・・そんなことを言うな。お前はここに”生きて”る。」
「・・・ありがと。ほら、帰ろう。みんな待ってるよ。」
そう言って近くに止めておいたザンザスのバイクの後ろにまたがりヘルメットをかぶる。
「ほら、早く!レヴィとか獄寺君がウザイから!」
「・・・お前言うようになったな・・・。」
「だって本当だもーん。」
バイクにまたがるザンザスの体に後ろから抱きつくように掴まる。走り出したバイクで風を受ける。
「・・・ありがとう、ザンザス。」
呟いたその言葉は、風に溶けていった。
ネタ神様ご光臨で授けていただいた『屍姫』パロっぽいもの(え)。ザンザス契約僧って感じじゃないけど(爆)。
ツナは屍姫。これは決定でしょう(笑)。