Un caoriccio di mostro
ぶっすー
ツナはものすごく不機嫌だった。そりゃもう背後に「不機嫌です」という文字とオーラが見えそうな勢いで。
「おいツナ。」
「俺はじい様の後なんて継がない。」
むっす―――と据わった目でリボーンを睨みつけるツナの声はそりゃもう地獄の底から響いてくるような低いもので。思わずリボーンもちょっとだけ(本当にちょっとだけ)鳥肌が立った。ちょっとだけだが。
「・・・これは決定事項だ。お前に拒否権はねぇ。」
「・・・は―――これもどれもみ――――んなザンザスのせいだー!!」
俺の平凡ライフを返しやがれ――!
と、叫んでポスンとソファに倒れこむ。
「ツナ、ドレスが皺になる。」
「知らなーい。」
そのままクッションに顔を埋める。意味はないと知っていても最後の抵抗くらいはさせろとクッションの間からじろりとリボーンを睨みつける。
「・・・あの骸や雲雀がお前にならついてくるって言ってんだ。しっかりしやがれ。」
「だってー!(泣)。」
それでもじたばたと駄々っ子のように足をばたつかせる。そのたびに今日この日のためにあつらえられた純白のドレスが翻る。
「・・・襲うぞてめぇ。」
「はっ!返り討ちにしてやる。」
あぁ・・・なんか火花が見える・・・。
お披露目まであと一時間。獄寺が迎えに来るまでツナとリボーンの冷戦は続いた。
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・十代目・・・。」
「獄寺君。」
「はい!」
ギロリ、と擬音が付きそうな勢いで隣に控える獄寺を睨みつければ、これまたビシィ!と擬音が付きそうな勢いで背筋を伸ばして立つ。
「・・・今更な、本当にささやかな抵抗なのかもしれないけど『十代目』って言うのやめてって言ってるでしょ。」
やっぱりむす―――っと不機嫌オーラを撒き散らしながら言えば獄寺はキッと表情を引き締める。
「そうは行きません。あなたは我ら、人間どもから『モンスター』と呼ばれる者たちの王、その十代目なのですから。」
「・・・そんなもん、他の奴らがなればよかったんだ・・・。」
「ザンザスが全て殺しました。」
「そこなんだよー。」
ふざけんなー!と叫びかけてここが(一応)自分のお披露目パーティ会場であることを思い出して思いとどまる。あんまり騒いで無体を晒せば九代目に迷惑がかかる。自分が此処から追い出されるだけならまだいいが九代目の顔に泥を塗るのだけは駄目だ。何も知らない自分をかわいがり、気にかけて最後まで心配してくれた九代目のことは嫌いではない。自分を十代目に指名したことを除けば、だが。
「・・・はぁ。ザンザスも何でんなめんどーなことしてくれちゃったかなー。」
「仕方ありません。過ぎたことを嘆かれてもどうにもなりませんから。」
「・・・獄寺君ってたまに厳しいこと言うよねー・・・。」
畜生。ザンザスの馬鹿野郎。
と悪態をつけば、噂をすればなんとやら。会場にいた人々(モンスター九割)がすごい勢いで道をあける。げ、とツナがあからさまに嫌な顔をして視線を向けたその先には王家―通称ボンゴレ―直属暗殺部隊ヴァリアーを率いたザンザスの姿。
「よう、ツナ。逢いたかった。」
「やぁザンザス。相変わらずの凶悪面だね。俺は1ミクロンも逢いたくなかったよ。」
ザックリバッサリ切り捨てるそれはまぁいつものことなようでザンザスは痛くもかゆくもない様子。
「ふん、照れなくてもいいぞ。」
「照れてねぇよ。」
このやり取りもいつものことで。ザンザスの後ろでは部下であるスクアーロ(魚人族)、ルッスーリア(サキュバス)、ベルフェゴール(レッドキャップ)、マーモン(ノーム)、レヴィ・ア・タン(ゴーレム)は、あぁ、また始まった。と綺麗にスルー。
「お!ツナ、ここにいたのなー。」
「山本!」
先までの仏頂面はどこへやら。さわやかな笑顔で手を振ってこちらにやってくる自身の守護者である山本の姿を見止めると思いっきり抱きつく。これにはザンザス以下ヴァリアー陣+獄寺からちょっと(かなり?)殺気がもれた。
「う゛ぉぉぉ゛ぃ、山本ぉ!ツナから離れやがれぇ!」
「お。スクアーロじゃねーか。久しぶりだなー。」
ははっ、と笑う山本はそんな殺気もなんのその。さすが、人間でありながらツナの守護者に選ばれただけはある。肝が据わっている(鈍いとも言う)。
「はいみんなー殺気しまって。お客さんにめーわく!」
鶴の一声とはこのこと。ツナの一言で垂れ流しに荒れていた殺気がぴたりと治まると割りにいた招待客達から安堵の溜息が漏れる。
「ザンザス達は九代目の手伝いがあるんでしょ?!さっさと行く!あ、獄寺君はリボーンとコロネロ呼んで来てくれる?俺は山本と一緒にいるから。」
そう言って獄寺を下らせ、同じくヴァリアー達も一睨みして追い出す。去り際にベルがナイフを投げてきたけどその辺はスルーしよう。あたらなかったし。
「ごめんね山本。いろいろと・・・巻き込んじゃったみたいで。」
バルコニーに移動して手すりに寄りかかって申し訳なさそうに呟く。山本は人間だ。純粋に。本来ならこんなモンスターだらけで危険なところにいていい人物ではない。ツナはそう思うっている。なのに、巻き込んだ。巻き込みたくなかったのに。山本とは、普通の”人間”としての友達でいたかった。ただ、それだけだったのに。
「謝るなって。今更だろー。俺はツナのそばにいたいからここにいんだ。ツナが人間だろうとモンスターだろうとツナはツナだ。」
ニカッといつもの笑顔を見せられればツナもそれ以上なにも言うことは出来ない。
「・・・ん。ありがとう。」
「話は終わったか。」
タイミングを見計らったかのように声がかかる。声のしたほうに視線を向ければ、そこにはリボーンとコロネロ、さらには獄寺(人狼族)、雲雀(吸血鬼)、笹川兄(鬼)、骸(人間、ただしエクソシスト)、ランボ(フランケン)がずらりと並ぶ。全員、ツナの守護者として、此処に集められた者たち。そしてこれからツナと共に王家十代目の中心として、お披露目されるのだ。
「そろそろ時間だぜ、コラ!」
「我らが十代目のお披露目だ。」
リボーンのその言葉と共に差し出された獄寺の手をとってツナは表情を引き締め、会場へと戻る。戦いは、これからだ。
えーと、タイトルは・・・忘れた(え)。すいません。そのときののりです(爆)。
一人で書いてて楽しかった(苦笑)。ザンザスが壊れた(爆)。
そして『怪物王女』パロ(っぽいもの)って・・・継承者争いとか言う時点で「復活!!」とか思ってしまった自分末期です(今更)。