オオゾラのうた act1

明け方、空が明るくなり始めたころ。ツナは出窓に腰掛けて外を眺めていた。視線の先にはバス停。しばらくすると長い、銀髪のサーフボードを抱えた青年がやってくるとツナの視線はその姿に釘付けになる。やがてバスが来て青年が乗って行ってしまうとツナはふっ、と息を吐くと窓から離れ、遮光カーテンでしっかりと窓を覆ってしまう。そのままベッドにもぐりこもうとすると同時に階下で扉を開ける音がする。それに少し苦笑して、階段を上ってくる友を迎えるためにベッドから降りる。
「おはようございます、ツナさん!」
「おはよう、ハル。今日も早いね。」
ツナとは反対にしっかりと制服身を包んだツナの幼馴染の三浦ハルはツナの前に座ると鞄の中からビデオカメラを取り出す。
「ジャーン!ツナさんのご要望の品をお持ちしました!」
「え!もう?!」
「はい!」
そう言ってスイッチを入れるとそこに映るのはハルと同じエンブレムの入ったブレザーを着た、先ほどツナが見ていた青年。
「彼はハルたちと同じボンゴレ学園高等部三年のスペルビ・スクアーロ先輩。仲のいい人たちからは「スクアーロ」と呼ばれてます。生徒会副会長で会長のザンザス先輩からは「カス鮫」と呼ばれて専用サンドバックにされているのが日常風景のようです。成績は常にトップ10入り。部活は剣道部で主将も務めてらっしゃいます。大会でも優勝経験が豊富です。趣味はツナさんが毎日ご覧のとおり、サーフィンのようですね。」
つらつらと手帳を取り出して青年―スクアーロ―について情報を読み上げていくハルに、ツナはカメラに映るスクアーロの姿から視線をそらし(一時停止させることも忘れない)、ちょっと苦笑する。
「いつも思うけど、ハルの情報収集能力は凄いよね。」
「こんなにがんばるのはツナさん限定です!」
ハルはツナさんが喜んでくれるなら!と高らかに宣言する姿にツナはさらに苦笑する。
「ほら、そろそろ時間じゃないの?」
時計を指してそういえばハルはあわててカメラと手帳を鞄に詰め込んで立ち上がる。
「はひ!本当です!ではハルはそろそろ行きますね!おやすみなさいツナさん!」
「うん。行ってらっしゃい、ハル!」
パタパタ、と部屋から出て行くハルを見送って今度こそベッドにもぐりこもうとするともう一度部屋の扉が開く。
「ツナさん、今日も行くんですか?」
どこへ、とは言わなくてもわかっている。
「うん。いつ、この体が動かなくなるかわかんないから、俺は今を、やりたいことを精一杯やるだけだから。」
へにゃ、と少し寂しそうに笑って。ハルはそんなツナに一瞬だけ表情を歪めるが、次の瞬間にはすぐ笑顔を作る。
「わかりました!ツナさんのファン一号としては今日も行かないとですね!では今度こそ三浦ハル!行ってまいります!」
「うん、行ってらっしゃい。」
パタン。
今度こそ本当にツナしかいなくなった部屋で一つ溜息をつく。
「・・・ごめんな・・・ハル・・・。」
つぶやいた言葉は、空に溶けていった。

ネタ神様ご光臨(爆)。いきなり唐突に思いついた『タイヨウのうた』(映画)パロ!しかもスクツナとかどうよ!?という突っ込みはスルーさせていただきます!本当にもう、どうなってんだろうね、思考回路(苦笑)。
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