オオゾラのうた act2
夜。完全に太陽が沈み、空が闇に覆われたころ、ツナはベッドから出て身支度を整えると階下へと降りる。
「おはよう、母さん。」
「あら、おはようツーちゃん。ご飯できてるわよ。」
席について並べられた食事を食べようと箸を取れば、
「ツーちゃーん!パパは無視なのか?!」
・・・大の大人がおお泣きしてもキモイだけだろう、と突っ込みを入れたくなる。ツナはちょっとじと目でそんな父親を一瞥するだけで「いただきます。」と食事をはじめ、母は母で「まぁまぁ。」と慣れた様子で微笑んでいる。
「ツーちゃん、今日もこれからお出かけ?」
そんな父を綺麗にスルーして聞いてくる母もいろいろと強者だろう。
「うん。いつもの時間にハルが迎えに来るから。」
「ごちそうさま。」と手を合わせて食器を片付けながら言えば「そう。ハルちゃんが一緒なら安心ね。」と微笑う。
「ツーちゃん、聞きに来てくれる人とかいるの?」
「ん?んーまー興味本位でちょっと立ち止まるくらいの人はちらほらと。ちゃんと聞いててくれるのはハルくらいかなー。」
「じゃぁパパが聞きに行って「来たらコロス。」・・・はい・・・。」
口を動かしながらも出かける準備をする。最後にギターケースを背負ったところで玄関チャイムが来客を告げる。
「こんにちわ!ツナさん、お迎えに上がりました!」
扉の向こうに立つハルに微笑んで、
「じゃぁ母さん、行ってくるね。」
「行ってらっしゃい。二人とも気をつけてね。」
パタン
「・・・ツナさん、なんかお父様が今日も泣いてらっしゃいましたが・・・。」
「いーの。あれは本当、ほっといて。」
ちょっと酷い。
それがツナ、沢田ツナの”一日”。太陽が眠りに付き、月が輝き星が瞬くその間だけが、ツナの”一日”だった。
・・・あれ?なんかおかしい気が・・・(おい)。