争奪戦勃発?!

大戦後、キラやラクスが身をおく孤児院の前に一台の車が停まった。車から降りてきたイザークは平和そうな様子に眉をひそめる。
「…ふん。暢気なものだな。プラントもオーブも大変なときだというのに。」
そう呟き、キラとラクスがいるであろう院へと歩を進めた。

「あ、イザーク。久しぶり。」
「『久しぶり』じゃない!馬鹿たれ!プラントもオーブも大変だというのに、暢気なものだな!」
「あはは。相変わらずだね、イザークは。」
毎度おなじみなやり取りをしていると、お茶を用意したラクスが部屋に入ってくる。
「ふふ。イザーク、そんなに怒鳴りますと子供たちが怯えてしまいますわ。」
そう言いながらも楽しそうに微笑むラクスにキラも楽しそうに笑う。
「あ…あぁ、すまない。」
「よろしいのですわ。ところで、今日はどんなご用ですの?ただ用もなくこちらにいらっしゃるほど暇では無いのでしょう?」
ちょっと黒い。なんか黒いもの背後に見えますよラクス様ー!
イザークもそれは気付いてる。気付いてるけどそんなものに怯えるようなイザークでもない。
因みにキラは平然とラクスに入れてもらったお茶を飲んでいる。
「…自分の『恋人』に会いに来てはいけないのか?」
「誰が誰の『恋人』ですの?」
ふふふ、はははとなんか黒いやり取りがされている。おかげで誰もこの部屋には近づかない。否、近づけない。
「ふん、その辺はあとでゆっくり話し合おう。本題に入るぞ。」
「えぇ、どうぞ。」
とりあえずなんだかよくわからない黒いものの応酬は去ったが、なんだかピリピリした空気にやっぱり誰も近づけない。
「プラント最高評議会からの通達だ。ラクス・クライン、プラントに戻り、最高評議会議長に就任することを要請する。」
イザークは持っていた鞄の中から書類を取り出しラクスに渡す。ラクスは一通り目を通すと、その書類をキラに渡し、困ったような視線を向ける。
「そしてキラ・ヤマト。お前にはラクス・クラインの補佐及び護衛をしてほしいとの要請も来ている。」
もう一枚書類を取り出し、キラに渡す。キラはその書類とラクスから渡された書類に目を通し、一つ大きく深呼吸をする。
「イザークはまだプラントに、ザフトにいるんだよね?」
「…ああ。そうだ。」
「じゃぁプラントに行けば、今よりはイザークに会えるねvv」
「…………は?」
その間たっぷり10秒。
「僕はラクスが議長になるのは悪くないと思うよ?今、カガリだって頑張ってるし、僕も何か出来ることがあるならやらなくちゃって、思ってたとこだし。」
何故か物凄く上機嫌で話すキラにイザークもラクスもちょっとビックリ。
「それに、イザークにも会える時間が増えるしねvv」
にーっこりと満面の笑みで言われれば、イザークは赤面し、ラクスはちょっと不機嫌そうになる。
「キラは私よりイザークのほうがよろしいのですか?」
「え?ラクス?そうじゃないけど…でもやれることをやりたいし、ラクスが議長になって僕がそばで補佐出来るっていうのは悪くないと思うんだけど…?」
どうかな?と可愛らしく首を傾げるキラに(可愛らしいですわ!)と内心悶えながらも、しっかり頭の中でメリットを計算している。
「(私が評議会議長に就任、キラが補佐及び護衛で私と共にプラントへ昇る。私と共にいるわけですから嫌でも不特定多数にキラの美しいお顔を晒してしまうことになってしまいますわね…。キラがいいと言ってくださっていることを無碍にお断りすることも出来ませんし…そうなればキラもついてきてくださる…それはそれで…どっかの訳の分からないところで不逞の輩の毒牙にかかるよりは私のそばに置いておいた方が…)。」
「…ラクス?」
急に難しい顔で黙り込んでしまったラクスを覗き込めば、にっこりと微笑みが返ってくる。
「解りました。その任、お受けいたしましょう。」
「…解った。取り敢えず引越や引き継ぎ作業など有るだろうから一度プラントに上がってくれ。キラ、お前もだ。」
「うん。」
「それでは、宇宙で待っているぞ、キラ・ヤマト、ラクス・クライン。」
イザークは満足そうに、その場を後にした。

「これから忙しくなるね。」
「そうですわね。」
「でもカガリも頑張ってるんだ。僕達も、頑張らなくちゃ。」
「えぇ、頑張りましょう(私の可愛いキラは誰にも渡しませんわ!)。」
プラントに戻った後、キラに言い寄ってくるモノたちを排除していくラクス(とイザーク)の姿が度々目撃された。

あほ(爆)。ラクス様とイザークでキラ争奪戦(笑)。
アスランは既争奪戦に加えてももらえない(え)。
ラクス様が壊れた・・・(苦笑)。
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