アリス イン ワンダーランド〜後編〜
しばらく行くとそこではトランプでできた兵隊が
白いバラを赤く塗っていた。
「ちぃ〜っす。」
「うわぁ!」×3。
アリスが声をかけるとトランプ兵の3人は
大げさなくらいに飛び上がって驚いた。
「そんなに驚くことないじゃん。」
アリスはそうつぶやきちょっとむっとした。
「なんだよ!女王様かと思ったじゃん!びっくりさせんなよ!」
トランプ兵の一人が叫ぶ。
「あんたたちが勝手に驚いただけじゃん。俺のせいじゃないし。」
アリスが反論する。まぁ確かに正論である。
「それは・・・、そうだけど・・・。」
別のトランプ兵が呟く。
「ねぇ、それより何でバラ塗ってんの?」
トランプ兵の言葉をほとんど無視してアリスは聞いた。
「女王様は赤が好きなんだよ!」
「赤が好き・・・。」
「赤が好きなんです・・・。」
「だけど白いバラを植えちゃって・・・。」
「植えてしまって・・・。」
「植えちまったんだよ!」
「だから赤く塗っているんです・・・。」
「塗ってんだよ!」
「塗ってます・・・。」
別に連呼しなくてもいいと思う。
「で。結局誰が原因?」
自分で聞いておいてそんな事はどうでもいいと言わんばかりに
アリスがそう聞くと
トランプ兵達は次々に隣を見て首を傾げた。
「ハートのJか?」
「ハートのJなの?」
「ハートのJですか?」
そしてバラの木の根本で一人どんよりとした空気を背負って
しゃがみ込んでいたトランプ兵を見る。
「・・・うん・・・。」
ハートのJと呼ばれたトランプ兵は力無く頷いた。
「なんだ。犯人わかってんじゃん。」
「うん・・・。そうなんだけど・・・。」
そんな思い空気を背負ったハートのJに
一番最初にアリスに怒鳴ったトランプ兵が
バラを塗っていたはけを渡した。すると。
「オラオラ!そうさ!俺様が白いバラを植えたのさぁ!なんか文句有るのかぁ!バァーニィング!」
「・・・。」
絶句。
意味がわからないと言った表情でアリスはしばらくそこに立ち尽くした。
『パンパカパァン!パンパンパン パンパカパァン!』
軍隊のラッパのような音が聞こえた。
「女王様のおなぁりぃ〜!」
『女王』と思われる赤いドレスを着た少女が
あのめがねをかけた縞猫と
アリスが追いかけていた白ウサギを従えてやって来た。
そしてバラの前に来ると首を傾げて猫に向かって聞いた。
「これは何でしょう?」
すると猫はどこから出したのか、
手帳を取り出し広げてめがねを光らせて答える。
「データによると白バラだろう。」
しばし沈黙。
「そんなことは聞いてません!
誰が白バラなんて植えたのかって聞いてるんです!」
女王が駄々をこねる子供のように反論しているところに横からアリスが
口を挟んだ。
「別にいいじゃん。白いバラ植えたぐらい。」
しばし思考中。
「・・・。いいんでしょうか?」
アリスの言葉に女王は少し困ったように猫の方を見た。
猫はまた手帳を広げる。
「データによるといけないようだが。」
「駄目みたいです・・・。どうしましょう?」
「データによると首をはねればいいらしい。」
「という訳なんで首はねられちゃってください。」
「なんで俺?!」
なぜか首をはねられることになってしまったアリス。
笑顔でブラックなことを言う女王にアリスは一人突っ込みをしていた。
「ウサギ。」
「え!俺っすか!?」
「文句を言うな。」
「しかたねぇなぁ、おまえら、かかれぇ!」
ウサギは猫に言われて反論しつつもトランプ兵達に命令。
トランプ兵達はアリスを捕まえるために飛びかかった。
「なんなんだ!おまえら段ボールのくせに!」
トランプ兵はフリーズ。アリスはその隙に逃げ出した。
すぱーん!
「アリス、起きな。風邪ひくよ。」
アリスはなにかに叩かれた痛みとその声で現実に引き戻された。
どうやら眠っていたのを姉に思いきり扇子でひっぱたかれたらしい。
「変な夢見た。」
アリスは叩かれた頭をさすり大きな欠伸をしながら呟いた。
「ふぅん。どんな夢?」
「あんたには関係ない。」
姉の言葉にもアリスはそっけなく答えた。
それでも姉はにっこりと微笑み(だだし額に怒りマーク付)
アリスの襟首をつかんだ。
「そっか。じゃぁ帰ろう。もう遅いから。」
そういってアリスは姉に引きずられて家に帰っていった。
2人が去ったあとをあの白ウサギが走り抜けていった。
fin
うん・・・ノーコメント。
あ、でも「ダンボールのくせに!」そこポイント(笑)