ずっと一緒に居たかった
―ずっと一緒に居たかった―
じりじりと照りつける真夏の太陽の下。リョーマは一つの墓の前に立っていた。西洋墓地の中にたつ、その墓石に刻まれた文字は『SYUSUKE FUJI』。
あれから5年。未だになぜ周助が死ななくてはならなかったのか。俺はわからないよ。
ねぇ、周助。なんで・・・俺だけ置いていったのか・・・、いい加減教えてよ・・・。
いつも何も言わないで居なくなって・・・。あのときだって・・・。そう・・・。あのときだって・・・。
5年前の夏の日。不二周助、大学2年。越前リョーマ、高校2年。二人は海に来ていた。二人が付き合っていることは周囲もすでに承知で、二人で旅行をすることも誰も反対はしなかった。ただ。「二人で海へ行く。」そういったとき、周助の姉の表情が印象的だった。
「ねぇ、リョーマ。」
「・・・なんすか。」
二人で並んで夕焼けの海を見つめる。
「僕が居なくなったら・・・どうする?」
その問いにリョーマはありえないと言った表情で答える。
「・・・俺はどこまでも周助と一緒だよ?」
リョーマの答えに不二はいつもの何を考えているのかわからない笑顔を向けるだけだった。
次の日。リョーマと不二は海へと向かうアスファルトの上を歩いていた。炎天下の元。コンクリートの照り返しがつらい。そんな中、ふと、不二が言葉を発した。
「ねぇ、リョーマ。昨日の質問の続き。リョーマはどこまでも僕と一緒だって言ったけど、
もし僕がリョーマも追いかけてこれないような場所へ行ってしまったら、リョーマはど
うする?」
リョーマは何を言っているのだと言うように笑みを浮かべて答える。
「それでも俺は周助を追いかける。俺、結構執念深いの知ってるっしょ?」
信号機が赤に変わり、二人は立ち止まる。
「・・・そうだったね。でも、リョーマ。それでも、追いかけてきてはいけないところだってあるんだよ?」
「え・・・?」
― 一瞬、周助の背中に翼が見えた気がした。 ―
キキー!ドン!!
「周助!」
不二周助は信号を無視して猛スピードで歩道につっこんできた車にはねられ、頭を強く打ってそのまま脳死状態となり、命を落とした。
あれから5年。リョーマはプロになり、世界でその名を知らないものは居ないほどのテニスプレイヤーになった。そして、毎年、不二の命日になるとここへ来る。そしてたずねるのだ。
― なぜ、自分をおいていったのか。 ―
周助。お願いだから教えて・・・?なんで、俺だけ置いて行ったの?どこまでも一緒だって言ったじゃない。どこに居るの?教えて。追っかけてくって言っただろ。俺、執念深いんだって。教えてくんないんだったら帰ってきてよ。ねぇ。周助・・・。
俺の声は周助に届いているのだろうか。
― ズット イッショニ イタカッタ ―
fin
昔々に書いたものを発掘。
更新するものないんでUPしてみた・・・。
うっわぁ・・・なんじゃこりゃぁ・・・。