しげきぶつをあたえてはいけません

届けられた寿司をテーブルに並べて綱吉を椅子に座らせてやれば「これは何?」といった瞳でこちらを見上げてくる。
「・・・君、寿司は初めて?」
「す、し?」
「そう。食べ物だよ。あそこの寿司の味は保障するから大丈夫。食べな。」
そう言って一つ、定番であろう鮪の赤身を箸でつまんで綱吉の口に近づけてやれば、ふんふん、と少し匂いをかいで、あーと口を開けると1/3ほど口に含む。それがお気に召したのか少し表情を緩めてあむあむと口を動かしていた次の瞬間、
「!」
電気でも走ったのかのように全身の毛が逆立った。そして手元にあったお茶(冷)を一気飲み。その姿に一瞬唖然とした雲雀だが「あ」と何が起こったのか思いたって、
「・・・。」
一つ、寿司ネタをめくってみる。
「・・・サビ抜きって言うの、忘れたよ。」
自身の失態にちょっと溜息。大きな瞳に涙を浮かべてぴるぴると震える綱吉をよしよしとなでて、
「ちょっとまって。」
せっかくの握りだが、一度ネタをめくってシャリとネタに付いた山葵を取り除く。
「はい、これで大丈夫だよ。」
鼻先に差し出された寿司(今度はもともと山葵の入っていないイクラ)に少し警戒しつつも空腹には勝てない。ぱくり、と恐る恐るではあるが、口をつけ、大丈夫だと分かるともくもくと口いっぱいに頬張りはじめる。それを見て次は「サビ抜き」の指定を忘れないようにしようと思った。

しげきぶつをあげてはいけません

山葵の辛さに涙目になっている猫耳ツナを想像して悶えました(不審人物)。