ぐあいがわるいことをけんめいにかくします

次の日。雲雀が学校へ向かおうと、ふと綱吉を見てみればなんだか顔が赤い。動きもなんだかふらふらしている。なんとなく思い当たって見送りをしようと玄関まで付いてきた綱吉の額に手を当ててみればビクッ!と一瞬毛が逆立つ。案の定、明らかに熱がある。あれだけ雨に当たっていたのだ。熱を出さないほうがおかしいのかもしれない。
「・・・今日は休むかな。」
一度履きかけた靴を脱ごうとする雲雀を綱吉は必死で止める。
「・・・綱吉?」
「だい、じょー、ぶ。」
必死で訴えてくる。熱で火照った頬に潤んだ瞳。・・・ちょっといろいろとやばい。
「綱吉。」
「だいじょー、ぶ、です。」
かたくなに譲らない綱吉に一つ溜息をついて、
「・・・わかった、僕は行くよ。お昼はテーブルに用意してあるから大人しくしているんだよ。」
「は、い。」
優しくなでる手に嬉しそうに目を細める綱吉に後ろ髪を引かれながらも雲雀は学校へ。

夕方、合成獣用の薬と林檎を買って帰宅すればソファの上で毛布に包まりすやすやと眠る子猫の姿。そっと額に触れてみればすっかり熱も下ったようで雲雀の顔にも安堵の笑みががこぼれる。昨日の今日なのにすっかり絆されているなと思う。
「・・・ん。」
「起きたかい、綱吉。」
「きょ、や・・・、」
「うん、」
「おかえ、り、なさ、い。」
ほにゃん、とまだぼーっとしながらも微笑む綱吉に少々心が痛む。今朝も自分に迷惑をかけないよ、必死で大丈夫だと言い張った綱吉。熱で辛かっただろうに、何もいわずに自分に微笑む。
「綱吉、もう少し寝てな。」
「・・・は、い。」
優しく髪を梳いてやればすぐに規則正しい寝息となる。
「・・・もう少し甘えて欲しいな。」
それが聞こえたのか、雲雀の手にすりより微笑んでいる綱吉に心が暖かくなった。

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雲雀さんが偽者・・・!