もう、誰も奪わせやしない
「十代目!逃げてください!」
「ツナ!行け!」
「沢田!逃げろ!」
「ボンゴレ早く!」
「ボス!」
「行け!沢田綱吉!」
「――行け、ダメツナ!」
「無駄だよ、君たち全員、ミナゴロシだ。」
「うわぁああああああああ!」
「うるせぇダメツナ。」
「ダッ!」
自分の声で目が覚めて、飛び起きてみたらリボーンの飛び蹴り側頭部に決まった(文句を言ったらもう一発飛んできた)。
リボーンが出て行って、時計を見れば目覚ましが鳴る十分前。さすがにもう一度寝るわけにも行かなくて冷静になって自分の状況を確認する。汗びっしょりで、心臓が早鐘を打っている。呼吸が苦しい。くしゃり、と汗に濡れた髪をかきあげて大きく息を吐く。
「・・・なんだ、あの夢・・・。」
やけにリアルで、流れる血の匂いまでしてくるようで、
「(・・・いや、あれは、)。」
―夢じゃない―
これから歩むかもしれない、俺の”未来。
「(あんなものが、俺の”未来”?)。」
はっ。
「(ふざけるな)。」
認めない。あんな未来、認めるわけにはいかない。でも、俺の忌々しい”超直感”が”本物”であることを雄弁に語っている。
「ツッくーん、早くしないと遅刻するわよー。」
「あ、はーい!」
ずいぶんと頭を抱えていたらしい。時計を見ればもう遅刻ギリギリだ。
慌てて身支度を整えてパンをくわえて家を出れば何時もの笑顔で獄寺君と山本が迎えてくれる。三人で箸って学校へ向かえば遅刻を取り締まる雲雀さんに睨まれて、放課後はお兄さんからのボクシング部の勧誘から逃げて、帰ればリボーンのスパルタ授業を受けて、途中でランボが乱入してきてリボーンに返り討ちにされて、黒曜ランドに差し入れに行けば犬さんに突っかかられて千種さんがめんどくさそうにしていてクロームがおどおどしながらなだめて、
そんな、平穏とはいえないような平和な日常を、俺の大事な人たちを、あんな”未来”に、
奪わせたりしない。
(ボス?)(ん?あぁ、大丈夫、なんでもないよクローム)(///)
十年前のツナを呼び寄せた十年後ツナの十年前(ややこしい…!)な感じで。いろいろといっぱいいっぱい…!