10.死者の魂

木の葉に戻ったナルトはほどなくして目を覚ました。
心配していた面々もほっと肩をなで下ろす。
「ナルト…よかったぁ。心配したんだからぁ。」
「無事でよかった。」
「うんうん。」
それぞれ三者三様な反応を見せながら安堵の様子を見せる。
「…ごめん。また心配かけちゃったってばよ。」
ベッドの上に座るナルトは申し訳なさそうに苦笑する。
「それにしても…黒幕が大蛇丸だったとはね。」
カカシが腕を組みながら眉を寄せる。
「まぁ、死者の魂を使役する力なんて、確かに大蛇丸が目を付けそうだけど。」
「にしてもムカつくわ、あの蛇オカマ(怒)。」
「(苦笑)。」
サクラの毒づきにナルトは苦笑する。
「ナルト。」
すると部屋に火影が入って来た。
「…火影様…。」
「じっちゃん…。」火影はナルトの座るベッドの隣に立つ。
「ナルト。もう、『御霊鎮めの儀』はやらなくてよい。」
「…じっちゃん…?」
「…もう、よい。これ以上おまえを危険な目に遭わせるのは心が痛い。」
火影は悲しそうに言う。
「じっちゃん…。」
「もうよい。死者の魂は鎮めずとも自ら行くべき処へ行くじゃろう。だから、もうよいのじゃ。」
淡々とどこか自分に言い聞かせるように言う。
「…大丈夫だってばよ?」
「ナルト?」
「俺は…大丈夫だってばよ。」
ナルトは微笑む。
「無理しなくていいのよ?火影様もこう言ってくれてるんだから。」
「うんん。大丈夫。『御霊鎮めの儀』は続ける。続けなきゃいけないってばよ。」
「ナルト…。」
ナルトの決意に満ちた言葉に皆言葉を失う。
「あの魂たちは自分がどこに行けばいいのかわかなくなってるってばよ。だから俺が教えてあげるってばよ。」
ナルトは微笑みながら…役目を見つけた瞳で語る。
「いいの?また倒れたり、大蛇丸に狙われたりするかもしれないわよ?」
「うん。大丈夫だってばよ。」
心配するサクラにナルトは力強く頷く。そんな風に言われては皆何も言えない。
「それなら!」
「「「「!」」」」
いきなり叫びだしたサクラに全員が驚く。
「あたしたちがずっと一緒にいるわ!」
拳を振り上げて力説するサクラ。サスケとカカシも大きく頷く。
「そうだね。」
「俺たちがナルト、おまえを守ってやる。」
「みんな…。」
「大丈夫。いつも一緒だから。」
サクラはナルトを抱きしめる。後ろから何か殺気のこもった視線を感じるが気にしない。
「いいってば?」
ナルトは抱きしめられたまま訊ねる。
「いいに決まってるでしょ。あたしたちみんなあんたのこと大好きなんだから。」
サクラの言葉にナルトは思わず涙がこぼれる。サスケもカカシも火影も微笑んでいる。
「…ありがとう…だってばよ。」
ナルトは言葉を詰まらせる。すると、ふわりと蛍のような儚い光がナルトの隣に浮き上がる。
「…父ちゃん…。」
ぼそりとナルトが呟く。驚く面々をよそにナルトは光に話しかける。
「うん。俺ってば、もう大丈夫だってばよ。だからもう…安心して…?」
優しく語りかける言葉に光は嬉しそうにナルトの周りを回り、そして消えた。
それを満足そうに見つめて、ナルトは微笑む。
「本当に…一緒だってばよ?」
「えぇ。」
「あぁ。」
「もちろん。」
それぞれの微笑みにナルトも満面の笑みで応える。

それからもナルトは皆と共にいる。死者の魂と…『友達』と共に…。

最後の最後まで支離滅裂・・・。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
← 戻る