9.標本の様に

『御霊鎮めの儀』の際、御霊が暴走したという知らせを受けて、ナルトのもとへ三人の男がやってきた。何事かと唖然とするナルトとサスケたち三人を無視して、男たちは無言でナルトに近づき、無理やりナルトを両側から抱え込む。
「え!ちょ、ちょっと!なにするのよ!」
いち早く我に返ったサクラが声をあらげるが、男たちはいにかえさないようすで次の瞬間、ナルトと男たちはその場からかき消えていた。

「火影様!」
サスケたち三人はすぐに火影の下へと駆け込んだ。
「火影様!ナルトは!?」
サクラがものすごい剣幕で火影に詰め寄る。そのあまりの勢いに火影も思わず後退る。
「サクラ。サクラ。取りあえず落ち着いて。」
カカシになだめられ取りあえず一歩下がる。
「火影様。ナルトがどこかに連れていかれました。あれば…火影様の命ですか?」
カカシが淡々とした口調で訊ねる。静かな口調とは裏腹に、怒りのチャクラが漏れだしている。その隣に立ち、無言で火影を睨みつけるサスケも同様だ。
「…。いや。儂の命ではない。ナルトの力を怖れる奴らが居っての。そ奴らの仕業じゃろう。」
ふぅ、と一つ大きなため息を付く。
「…ナルトは、どこですか。」
静かにサスケが問う。
「…わからぬ。儂もナルトのことは心配で、儂自ら捜索に行きたいのじゃが…。」
ふぅと再びため息を付く。
「あたしたちが探し出します!」
サクラが体を乗り出す。
「あぁ。」
「あたりまえデショ。」
サスケとカカシも頷く。
「…ナルトを…頼む…。」
深々と、火影は頭を下げた。

それからしばらくの間はナルト捜索に費やされた。そして一週間が過ぎたある日とうとうナルトの居場所を突き止めた三人は巨大な洞窟の前に立っていた。
「ここに…ナルトが…。」
「あぁ。」
「さ、早く迎えに行ってあげまショ。」
三人は洞窟の中へと踏み込んだ。

洞窟の中の壁には蝋燭の明かりが灯っていた。しばらく歩いていくと突き当たりに部屋がある。三人は頷き合うと部屋の中へと踏み込んだ。そこには―標本に張り付けにされた蝶のように磔状になったナルトの姿があった―
「「「ナルト!」」」
三人は思わず叫び、ナルトに駆け寄る。

―バチッ―

「「「!!」」」
ナルトの周りには結界が張り巡らされており、容易に近づくことはできなかった。
三人がけっかいの発生源を探っていると、
「あら、お客様?」
後ろから不意に声がかかる。バッと後ろを振り返ると、そこには
「…大蛇丸…。」
大蛇丸とカブトが不気味な笑いを浮かべて立っていた。
「ふふ、ナルト君のお迎えかしら?」
不気味な笑いを浮かべたまま大蛇丸は言う。
「ナルトに何をした!」
「何もしてないわ。ナルト君の『御霊鎮め』の研究がしたかったんだけどね。ナルト君に拒絶されちゃってね。」
三人の怒りのチャクラにも涼しい顔で応える大蛇丸。
「ナルトを返しなさい!」
「えぇ。いいわよ。カブト。」
「はい。」
サクラが思わず大蛇丸に向かって叫ぶ。が、大蛇丸はそれにも動じず、さりと返し、カブトに結界を解除させる。
あまりの呆気なさに三人は警戒心を露わにする。
「大丈夫よ。本当に何もしてないし、返すわ。あ、ナルト君の目が覚めたら、あたしの研究に協力してくれる気になったらいつでもいらっしゃいって言っておいてね?」
そう言うと大蛇丸とカブトはその場を去っていった。
残された三人はまだ警戒しながらも磔にされたナルトを降ろし、木の葉へと戻った。

・・・お題に合ってない・・・!
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