2.血に沈む

バン!
「ラクス!」
銃声が辺りに響きわたった。キラの前でラクスの体がゆっくりと、スローモーションの様にゆっくりと倒れ込む。
「ラクス!ラクス!」
「…キラ…。」
キラの腕の中で、ラクスの命の火は燃え尽きようとしていた。ラクスの胸に穿たれた穴からは紅い血が止めどなく流れ続けている。
「ラクス!行かないで!ラクス!」
叫び続けるがラクスの瞳からは徐々に光が失われていく。
「ラクス…。」
「キラ…。」
最後の力でラクスは血の付いた手でキラの頬に触れる。
「…泣かないでくださいな…。私は大丈夫。…先に…向こうへ行くだけですわ…。だから、キラ。向こうで会いましょう。愛してますわ…キラ…。」
そう言うとラクスは力つきた。
「ラクスー!」
キラの叫びがこだまする。
ラクスを撃った兵士は人を殺したのは初めてなのか、未だに体を震わせて立ち尽くしている。
「…ラクス…ラクス…。」
キラはラクスの名を呼び続ける。ふとキラが何かに気が付いたかのように顔をあげた。そしてにこっと微笑む。その笑顔はなにか悪戯を思いついた無邪気な子供のよう。
その瞳にはもう周りの景色など映っていない。ただただラクスが旅だってしまった場所を見つめるかのように遠くを見ている。
「ラクス、僕もすぐ行くよ…。待ってて…。」
そう呟いたキラは持っていた銃を取り出す。そして銃口をこめかみにあてると、
「…幸せに…なれるよね…。」
その言葉と共にキラは引き金を引いた。

「キラ!」
カガリが駆けつけてきたときにはもう遅かった。二人は互いに抱き合い、幸せそうな表情のまま、血の海に沈んでいた。

・・・なんだかなぁ・・・。
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