3.首を落として

ザシュ
残酷に何かを切り裂く音がその部屋の中に響いた。
部屋の中央に佇むラクスはその切り落とされた何かを愛おしそうに胸に抱く。それはー幼い子供の小さな首ー
ラクスはその首に頬ずりする。辺りには真新しい血が飛び散り、ラクスの桃色のドレスも血に染まっている。よく見ると部屋は子供たちの首が整然と並んだ棚で埋め尽くされていた。
ラクスはその棚に抱いていた首を並べ、満足そうに微笑んだ。

ガチャ

「ラクス。」
「あら、キラ。」
「またかい。そろそろやめないと、みんなに気づかれるよ。」

ぴちゃ

部屋に飛び散る血も、紅く染まったラクスのドレスも意にかえさぬ様子で部屋に入ってくる。
「大丈夫ですわ。私を誰だと思ってるんですの?」
その微笑みは慈愛にあふれ、その反面、狂気をも含んでいる。
「それにこの子たちも幸せですわ。みんな永遠に一緒ですもの。これでもう寂しくありませんわ…。」
うっとりと首を見つめ呟く。
「そうだね…このこたちはもう苦しむこともない…哀しむことも、憎むことも…。」

ぴちゃ

濡れた足音をたて、キラはラクスの隣に立つ。
「えぇ。永遠に…。」
キラの肩にもたれ掛かり、ラクスは愛おしげに呟く。
部屋には慈愛と狂気が渦巻いていた。

『首』っつったら『歪みの国のアリス』がうかぶ今日この頃(末期)。
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