もう振り向いてはいけない
とうとう此処まで来た。
ルルーシュは騎士団のトレーラーの自室で”ゼロ”の仮面をかぶりながらコレまでの道のりを思い返そうとして頭を振る。
―振り向くな。立ち止まるな。前だけを向いて、先に進め。―
自分に言い聞かせる。此処まできたら後戻りなど出来ない。
ブリタニアをぶっ壊す
その目的まであと一歩まで近付いた。あと少し。あと少しでナナリーに優しい世界を。俺達が安心して暮らせる世界。
「ルルーシュ、緊張しているのか?というかお前でも緊張するようなこともあるんだな。」
「俺だって人間だ。緊張くらいするさ。」
バサッとマントを翻し、扉に近付く。
「もう、振り向いて入られない。前に進むしかないんだ。」
扉を抜け、騎士団の面々の前に現れたルルーシュは、もう”ゼロ”の雰囲気を身に纏いし、指導者の、王の風格が漂っている。
己を追い立てるように進む”ゼロ”の後姿を見つめながらC.C.は眉をひそめる。力を与え、契約したのは自分だ。だが、
「(ここまでとはな)。」
追い立てられるように、追い詰められるように前に進む王に危うさを覚える。何か、ちょっとしたことで、崩れ落ちてしまいそうな、そんな危うさを。
「(ルルーシュ・・・)。」
一度瞠目し、目を開き、ルルーシュの後を追う。
もう、振り返れない。振り返ってはいけないのだ。
時間軸的にはブラックリベリオン前ということで。